
- 肉牛
自分の「したい」を見つめなおすと、ノベルズにたどり着きました
(公開日:2020年12月21日)※掲載内容は取材当時のものです
兵庫県伊丹市で生まれ育ち、早稲田大学への入学とともに上京。埼玉県所沢キャンパスで4年間の大学生活を送り、就職先は出版社を選びました。実は、伊丹の実家が兼業農家ということもあり、入社した出版社も農業関係の雑誌や書籍を発行する会社でした。
そこでは、書店ではなく農家(生産者)さんに直接本を売る営業スタイルで、毎日、農家さんを回っていました。畑作・稲作・酪農・肉牛などあらゆる農家が対象です。3年間で農業の知識は貯まったと思います。
「石の上にも三年」という言葉がある通り、社会人3年という節目を向かえ、頭に浮かんだのが「営業以外の仕事をして見識を広げたい。できれば、農業に携わっていたい」という漠然としたイメージでした。そうして、転職サイトを覗き込んだときにすぐに目に入ったのが「ノベルズ」でした。
当時の転職条件は、「挑戦できる社風」「規模の大きい農業」に加えて、大学時代に野生動物を研究していたこともあり、動物に携わる職業であることの3つです。
北海道への上陸ははじめて
全てを叶えてくれる仕事はないだろうと思い込んでいた矢先にノベルズを知ったので、喜びよりも驚いたのが先ですね。「まさかこんな会社があるなんて」。
あれよあれよという間に転職が決まり、北海道への引っ越しとなりました。住むのはもちろんのこと、北海道に上陸すること自体が初めてです。
そうして、冬の寒さに怯えながらやってきたのが2019年の10月です。農家さんを回っていたこともあり、農地が広がる景色は慣れていましたが、雪と寒さには一抹の不安を抱えていました。ところが、住んでみると気密性の高さからか、家の中は暖かく、寒さで震えることはありません。
夏の短さは少しだけ寂しいですが、雪解けの春、新緑の夏、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の十勝の顔を楽しむことができています。移り変わる季節感に加えて、旬の食を楽しめる点も魅力ではないでしょうか。住み心地ですか? 最高ですよ。
現在は、北海道トップの生乳出荷量を誇る酪農牧場「ノベルズデーリィーファーム(清水町)」の診療部門に勤務しています。一言で表せば牛の病気を治す仕事です。治すといっても獣医師ではないので、簡単な処置は自分たちで行う一方、重篤な牛の場合は獣医師の判断を仰ぐこともあります。
牧場には、獣医師の先生は常駐していませんから、我々、診療部門のスタッフが牛たちの変化に察知することが早期発見・早期治療に繋がるのです。とはいえ、人間と会話のできない牛の体調を見極めるのは難しいですよ。
だからこそ、毎日1頭1頭しっかり見てあげることが大切な業務であり、変化を感じ取り、どんな疾病かを見極められるかで、診療スタッフとしての力量が試されるのです。
大まかな業務スケジュールは、毎朝6時に出社。前日の牛の診療履歴を確認し、今日何をするべきかを確認した後に、診療にあたります。
牛舎では、牛たちの状態もチェックし、体調を崩している牛がいれば、適切な処置を行います。また、症状が重く判断に迷う場合はNOSAI(農業共済)の獣医師に診察を依頼します。午前・午後で多少の業務は異なりますが、常に牛を観察し続けるという点は一日中同じです。
毎日1頭1頭しっかり見てあげることが大切
今は、6人体制で休みを取りつつ、一人あたり約1,000頭を担当しています。1,000頭を一人で確認して診療にあたるという点は、ある程度の裁量権を持って一人で行動していた前職と似ているスタイルかもしれません。
配属されて1年が経ちました。牛の状態を見極め、体調を崩しているようであれば、何をどう治療するのか、まず、どこを治療するのかなど、数多くの疾病例から照らし合わせて判断しなければならないのですが、正直、難しいですね。まだまだ足りない、至らない点ばかりです。
1年を振り返ると、牛を運ぶ際や子宮捻転の診療の際に重機を扱えるようになったことや、ある程度は牛の状態を見極められるようになってきたと、自身の成長を感じるところはあります。
辛かったのは、真冬の時期の作業ですね。素手で牛を触って体調確認するので、手が凍えて思うように動かすことができなかったり、薬剤が凍ってしまわぬよう、温めながら投与するなど、寒さとの戦いでした。
逆にやりがいは、元気のなかった牛が回復して、子どもを産んで搾乳できるようになる姿を見ることですね。
今後は、前職と同じように先ずは3年間、頑張ります。診療部門全体の目標でもあるのですが、酪農事業の根幹にも繋がる周産期の疾病をいかに減らすか。そのために、疾病予防を高める技術と経験を積むのが個人としての目標です。
そして、将来は診療部門のみならず、搾乳や繁殖といった他部門での経験を積んで、牧場全体を見渡し、運営できる人材に成長したいですね。
やりがいは、牛が回復すること
入社してからずっと感じているのですが、風通しの良さはピカイチだと思います。前述しましたが、診療部門は6人体制で、業務の多くは現場での経験で覚えることが大半です。
最初は、先輩が付きっきりで3ヶ月間、みっちり二人三脚で教えてくれます。その後に独り立ちして約1,000頭を担当しますが、身近に相談できる仲間がいるので不安を感じたことはありません。
また、チームだけではなく他の部署のメンバーとも交流を深める食事会も多いので、アッという間に顔見知りができます。牧場長や外国人スタッフとの交流も定期的にあり、雰囲気もよく、皆で支え合って運営している牧場という印象です。
入社した頃は、毎日が必死で疲れを感じる時間もなかった気がします。逆に半年くらい経ち、慣れてきた頃に疲れを感じるようになりました。そんな時は、会社の福利厚生でもあるタイ古式マッサージを受けたり、温泉に入りに行ってリフレッシュします。
北海道・十勝はどこでも温泉があるので、温泉好きとしてはたまりません。最近は、自炊する機会も増えたので、得意の出汁から作ったおでんと一緒にお酒を飲むのが楽しみです。これからの季節、良いですよ。
趣味の昆虫採集「北海道は固有の昆虫が多く楽しいです」
趣味は、昆虫採集です。幼い頃から虫が大好きで、暇さえあれば昆虫採集に行き、標本を作っていました。人間は皮膚の下に骨格がありますが、昆虫は骨格がもろに外に出ているので、カッコいいんです。さらに、北海道には固有の昆虫が多く、楽しみが潰えることはないですね。
昆虫以外にも、哺乳類や鳥類、爬虫類なども固有生物が多く、見かけたときは観察しています。私にとって、趣味に没頭している時間こそが最大のリフレッシュかもしれません。
今後は、昆虫と同じくらい牛や先輩を観察して、広い視野を持つ人材に成長したいと思っています。昆虫の中でも特に広い視野を持つという、トンボのような眼で未来の牧場を見据える牧場長を目指します。
出身:兵庫県
出身は空港のある伊丹市です。実は「清酒発祥の地」として、「伊丹の酒、今朝飲みたい」(イタミノサケ、ケサノミタイ)と上から読んでも下から読んでも同じ言葉が生まれるほどお酒造りの盛んな地域なんです。
2016年 | 出版社入社 |
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2016年 ~2019年 |
営業担当 |
2019年 | ノベルズ入社 |
2019年 | ノベルズデーリィーファーム配属 |
「巧遅拙速」
思い立ったら吉日ではないですが、先ずはやってみて、行動しながら考え修正するのが私の生き方です。「仕事は早い」にこしたことはないですから。
疲れた日は、タイ古式マッサージ(福利厚生で月1回無料)を受けたり、温泉に浸かるのがリフレッシュ方法ですが、元気な日は、趣味の昆虫採集に没頭しています。北海道は固有種が多く天国です。