2021年受胎率が出そろいました!②
前回の続き、今回は移植Dayと同期化方法による違いについて触れます。
Day別結果
ここでいう「Day」とは発情日から数えて何日目かを表しています。
下記の図を参照してください。
弊社受精卵は過去のグループ内の実績より、「Day8」での移植がふさわしいと思っておりましたが、昨年のNBSでの実績では「Day7」での移植が圧倒的に良い数値になっております。
頭数が少ないので、この実績からDay7移植がいい!とは言えないですが、無視できる数値でもないので、今年は意識して移植していこうと思います。
データが集まってくれば、季節による変化があるとか、牛の月齢や泌乳量による変化があるなどが分かるかもしれないですね。
ただ、発情から排卵までのタイミングを完璧に把握して移植日を設定するのはなかなか難しく、排卵のタイミングは牛によって個性があるので、データを取っていっても「Day7かDay8のどっちかで移植すればよい」という結論になってしまいそうだなと思っております。
ちなみに世界的に多い論調は「Day7」だそうです。
また、これは弊社体外受精卵における成績であり、他の受精卵に関してはこの限りではありませんのでご注意ください。不安な時は必ず製造者に確認を!
以下、Day7移植した14頭の細かい分析です。
頭数が少ないのであまり参考にならないかもしれないですがご容赦ください。
Day7レシピエントとプログラム別
ホルモンプログラムに関しては大きな差はありませんでした。
各ホルモンプログラムの説明です。
ECS9(E2・CIDRSYNC・9days)
排卵にE2を使っています。OCS9は排卵のE2をGnRHにして、一日遅らせて打つだけです。
※発情が強烈に来る場合があるので気をつけてください!
PG
黄体確認後にPGを投与して黄体退行させ、発情を誘起する方法です。
WOV(Wovsync)
ダブルオブシンクです。
※2023.9.1にGn④からETまでが7日になっていたものを8日に修正しました。
Day7レシピエントと産次別
産次別で見ても明確な差はありません。産次が高くなると受胎率が下がるのもセオリー通りです。
Day7レシピエントとDIM別
DIM別もそこまで大きな変動がありません。
データを見たときに一つ仮説が思いついたのですが、Day7移植で受胎率がよいのではなく、Day7段階で移植可能なしっかりした黄体が存在する牛はそもそも受胎率がよいのではと思いました。
黄体の形成にはブドウ糖が充足していることが重要です。牛の場合、ブドウ糖は肝臓での糖新生によって作られているので、肝臓が健康であること、ブドウ糖の大元であるプロピオン酸が充足していることも重要です。この辺めっちゃ大事なので別のコラムで分かりやすく取り上げます!!
話を戻しますと、Day7段階での黄体形成が十分であることが受精卵受け入れの下地を作っているのでは、という考えです。毎日卵巣の状態を見ればわかるかもしれません。
かなり長くなってしまいました。いずれにしろ、頭数が少ないのでこれらの結果は良かれ悪かれ偶然の可能性が高いので、今後もトライアンドエラーを繰り返すしかないと思っております。