移植師コラム

酪農家における受精卵和牛の冬産みに関しての雑感

酪農家における受精卵和牛の冬産みに関しての雑感

道内はいよいよ春ですね。早く解けて雪代が無くなってくれれば趣味の渓流釣りに繰り出せるんですが、今しばらく先になりそうです。

 

 

今回は冬に産ませた和牛に関して飼養管理の雑感などを。
例によって当たり前の話しかしませんが、暇つぶしくらいになれば幸いです。

 

 

昨年の4月に乳牛に和牛卵移植をして、今年の1月の厳寒期に産まれた農家さんが複数軒あり、それぞれ上手くいったりいかなかったりしたので少し比較してみました。
道内5か所の酪農家さんで、1月~2月初旬に産まれて、すでに道内の初生市場に出荷された和牛子牛たちを、出荷体重・売却価格(税別)・血統・飼養環境で分けています。
頭数少ないですが、雑感ですのでご愛敬ということで…。
頭が福之姫の血統は除いております。比較にならないので。
出荷したタイミングはバラバラですが、市場平均は概ね初生黒毛雄が44万、メスが33万ほどです。

 

 

5農場の比較

以下、農場ごとの詳細です。

 

 

A農場さんに関しては親牛に下痢5種ワクチンを投与してあり、殺菌初乳もきちんと飲ませていたんですが、いかんせんハッチが寒くて換気も良くなかったです。また、原因は不明ですがミルクの飲みが良かったり悪かったりしたことも増体に影響しました。血統的にもいい血統ではなかったので安値になってしまいました。

 

B農場さんはハッチが寒く、初乳の殺菌も無かったので早い段階で調子を崩してしまいました。いい血統でしたが、小さくて下痢の跡がひどかったせいか安値となってしまいました。

 

C農場さんはハッチがハウス内で暖かい環境でしたので子牛は元気でした。また分娩後の処置も良かったので、初回の初乳に関しては3ℓ飲むことができました。出荷まで下痢もなく、良い状態でした。

 

D農場さんも良い環境で、分娩センサーも着けていたので看護分娩が出来、大きいハッチにペア飼育で増体も良く、子牛同士で温め合うことが出来ていました。ミルクはピークで5ℓ下痢することなく飲めていたようです。

 

E農場さんは、分娩は問題なし、ハッチは換気システムのあるハウス内、粉ミルクも質の良いものを給与していて大きい牛に育ちました。貧血防止の鉄剤、ビタミンEなどプラスアルファのことも出来ていました。

 

当たり前ですが飼養環境がかなり大事ということですね。特に冬場は保温が最重要です。

 

 

酪農家が和牛子牛の冬産みを成功させるには

 

① ハッチは和牛の好適温度の15℃~20℃を保つ。ジャケット・ネックウォーマー・ヒーター等利用できるものは全て使う。
② 保温が優先だが、換気も意識する。
③ 分娩は親牛任せにしない。
④ 下痢予防ワクチンを投与した親の初乳を殺菌して飲ませる。

⑤初乳は糖度が21度以上のものを使用する。

 

増体・血統を除いて、あくまで健康に出荷させるには上記が必要になってくると思います。

特に触れていませんが衛生管理も必須です。

 

冬産みに関しては、子牛用の設備投資ができない、また農場内外を問わずイレギュラーな事態が起きたときに子牛のことが後回しになる可能性がある場合には推奨しません。
冬に産ませたからといってべらぼうに高く売れるわけでもありませんし、こだわって冬に産ませることはないと思います。
初めて受精卵移植での和牛生産に取り組む方は、北海道であれば7月~1月に移植して、翌年の春以降に産ませることをオススメします。

 

あとは、なるべく高く売りたいという場合には良い血統に加えて、出荷体重で80kg以上を目指す必要があると思います。2か月で80kgまで仕上げるのはなかなか大変ですが、ホルスタイン経産牛であればある程度ガサのある子を産んでくれるので、分娩時の処理や下痢等でこけなければいけるはずです。
粉ミルクはもちろん和牛用がいいですね。

 

 

最後に反省ですが、冬産みで失敗してしまった農場の皆さん、私の判断ミスです。申し訳ございません。
分娩やハッチ環境を観察した上で移植するかどうかを判断すべきでした。
今後に活かしたいと思います。

 

結果反省文かつ当たり前のことしか言っていませんが、多少参考になれば幸いです。

 

外谷

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