2022年受精卵移植受胎率①
遅まきながら2022年移植のOPU和牛新鮮胚の受胎率が出ましたので公表いたします。
昨年よりも移植頭数が増えたので、もう少し信憑性のあるデータにはなったかと思います。
2022年結果
2022年、ノベルズ製のOPU-IVP和牛新鮮胚をホルスタインへ移植した場合の受胎率は以下の通りです。
485頭移植の受胎率56.7%でした。
2021年は89頭移植の46%だったので、全体的な向上は見られましたが、これはレシピエントの構成が変わったためなので、移植技術や受精卵質が向上したということではありません。
昨年結果はこちら。
個人的には細かい分析ができるくらい移植頭数が増えたことが嬉しかったです。
これから複数回に分けて細かく分析していきたいと思います。
受胎結果徹底解剖
用語の定義
まずは本コラムにおける用語の定義や対象となるレシピエントについてです。
※辞書に載っているような言葉ではなく、私が勝手に言っていることなのでお気を付けください。
・初+:初回妊娠鑑定をプラスで通過(28日でPAG検査している場合もあります)
・再+:再妊娠鑑定をプラスで通過(繁殖検診は農家ごとに日数が違っているので、50日以降の検診で+が出た場合を指しています。)
・後期胚死滅率:初回の鑑定通過後、再鑑定までに発情回帰または再鑑定でマイナスになった割合
・受胎率:再鑑定プラスになった割合
・流産頭数:50日プラス後に発情回帰または別の形でマイナスが確認された頭数
・流産率:再鑑定プラス通過後の流産割合
※2022年7月以降に移植した牛に関しては分娩を終えていないので、流産率は未確定数字となります。
レシピエントはホルスタイン484頭+ジャージー1頭です。
妊娠確定後に廃用・除籍になった牛はデータから除外しました。
産次数別データ
1産、2産の比較的とまりの良いが中心の構成になったので全体の受胎率が底上げされました。
ただ、育成牛の受胎率が低い点が気になります。経産牛+20%くらい止まるのがセオリーと思われるので、あまり良くない傾向です。
詳細を分析したかったのですがデータが不足していて分かりませんでした。
私自身が育成牛への移植経験が少ないことが最大の要因な気はします。
長くなってしまうので、今回はここまでにします。
次回は授精回数や移植日のDIM(搾乳日数)、BCS、同期化処理別で見ていこうと思います。