特集:-新得町北広牧場の放牧酪農-
5月からコラムの更新を4か月以上もサボっているうちに、夏が過ぎ秋も過ぎ、とうとうユキムシが飛び始めました。いよいよ冬になりますね。
コラムの更新遅れ、遅筆がほとんどの原因ですが、まだ降雪していないのでぎりぎりセーフ、のはずです。
今回のネタ
今回は試験データ等ではなく、なんとクラウドファンディングのご紹介です。
弊社の和牛受精卵を利用していただいている、北海道新得町の酪農牧場、北広(ほっこう)牧場がクラウドファンディングを一部利用して、新たな挑戦を始めるようですよ。
クラファンサイトのページを見れば全て分かる話ですが、せっかくなので授精師として関わっている主観も交えてご紹介します。
北広牧場とは
北海道十勝地方の北西部、新得町に位置する酪農場です。
牧場としては通常の生乳出荷に加えて、自社生乳を利用したソフトクリーム、ヨーグルトなども作っています。
また、普段の生乳生産以外に情報収集、酪農の面白さを広める活動等にも積極的で、セミナーへの参加、講演会での発表、牧場を利用しての酪農体験、出張授業なども精力的に取り組まれています。
牛の飼い方(牛舎の構造)
ここからは授精師としての勝手な主観です。
現在ある第一牧場の牛は通年舎飼いで、フリーストール式を採用しています。
飼槽は長い馬栓棒スタイルなので、場所取りに負けて餌を食いっぱぐれる牛はほとんどいません。
ちなみに授精や移植の時にはベッドに牛を繋いでもらって前脚だけがベッドに乗っている状態です。
個人的にはこのスタイルが後躯が下がるので、牛が大きくても移植しやすくて最高です。従業員さんが牛を捕まえる手間が少々かかりますが…。
北広牧場牛舎
抜群の飼養管理
受精卵移植を行っていて感じる点としては、平均して黄体サイズが大きいことが挙げられます。
私は移植の前には超音波検査機を利用して黄体の状態を確認しているのですが、毎回30mm前後の大きな黄体が見られます。
以前に別のコラムでも触れましたが、牛が健康な状態でないと黄体は十分なサイズが得られないので、飼養管理の良さが伺えます。
それを裏付けるように、弊社OPU新鮮胚を使用した受精卵移植においては65%ほどの受胎率を出しています。移植は経産牛のみに行っていることを考えると、かなり優秀ですね。
また、長命の牛が多いことも特筆すべき点です。
一般的に繋ぎ飼いと比べてフリーストール式だと、牛群の平均産次数が短い傾向にありますが、北広牧場には8産、9産している牛も居るので大切に飼われていることが分かります。
新たな挑戦とは何か。
大切に牛を飼う、また様々なことに精力的に取り組んでいる北広牧場の皆さんが新たに挑戦するのが放牧酪農です。
同じ新得町内で過去に離農し、ずっと使われていなかった牛舎を整備して第二牧場とし、そこで放牧酪農を始め、乳製品作り、また将来的にはファームツアーなどにも取り組んでいくようです。
この事業には新たな乳製品づくり以外にも、事業を通して地域の活性化を図る目的があります。
単なる資金援助にとどまらず、たとえ遠く離れた地に居たとしても、共に地域がより良く変わっていく様子を見守っていけるのが魅力ですね。
クラファンページがとても分かりやすく丁寧に作られていますので、是非そちらをご一読ください。
また、リターンの品も素敵で、うしくんステッカーやTシャツ、ソフトクリーム食べ放題、放牧ツアーなどがあります。
私もささやかですが支援させてもらいました。
個人的にはステッカーのキャラクターのうしくんがとても可愛いので、是非ラインスタンプを作ってほしいですね。
最後に
エサに輸入飼料を使うことも多い畜産業において、昨今の円安は経営に大打撃を与えており、加えて物価上昇に伴う買い控えは、特に単価の高い牛肉製品には向かい風となってしまっています。
逆境を糧に、放牧酪農という道に挑戦する北広牧場を、ぜひ一緒に応援しませんか。
おまけ
今回は珍しいスタイルのコラム?宣伝?でした。
以下は遅筆の言い訳です。
普段のコラムネタ、書きたい内容はあるんですが、いかんせん遅筆で半日以上使わないと一本書けないため取り組むのも億劫です。
過去のコラムも、今読み返すと説明不足な点も多く、書き直したいですね。。
ちなみに内容は出来てないんですがネタだけ挙げると、
・和牛の哺育とはボディービルである
・大型ハッチでのペア哺育の可能性
・Day7移植orDay8移植、選択と活用
・黄体血流と受精卵移植の受胎率
・hCGは移植完了後の投与でもよい?
次に一本書けるのはいつになるやら…。
ノベルズブリーディングサービス 外谷