りぴいと☆ぶりいだあ③食らえβカロテン!!
北海道はめっきり冷えこみ、冬の装いが必要となってきました。つなぎの下に防寒インナーを着る日も出てきましたね。
さて、間が空いてしまいましたが、βカロテンを強烈に投与して受胎させた(発情を来させた)話の続きになります。
βカロテン、その他ビタミンはどう働いたのか
それぞれの成分のざっくりとした効果です。
・βカロテン:ビタミンAの前駆物質で粘膜保護作用、免疫機能向上、抗酸化作用があり、黄体細胞でのプロジェステロン分泌を促す効果があります。
・ビタミンA:βカロテンと同様に粘膜保護作用、免疫機能向上、抗酸化作用を持ち、発情や排卵に必要なホルモンであるエストラジオールや、妊娠維持に必要なプロジェステロン産生を促します。
・ビタミンE:抗酸化作用があり、脳下垂体前葉に働き、性腺刺激ホルモンの分泌を促進する。炎症を抑える効果もある。
今回特に有効に働いたのは、βカロテンとビタミンEです。βカロテンは牛の体内に入ると、1mgから400IUのビタミンAを作ります。余ったβカロテンは肝臓、脂肪、血液、黄体に蓄積され、必要な時に取り出してビタミンAとして使えます。
ビタミンEは疲弊した肝臓(肝炎になりかけている)を回復させるために給与しました。肝臓は性ステロイドの代謝をする器官なので、疲れていると繁殖に関わるホルモンを作れなくなってしまいます。ビタミンEの抗酸化作用と抗炎症作用に期待しました。
今回はβカロテンとビタミンA両方を給与しているので、基本はビタミンAの形で消費しながらβカロテンの形で貯蓄もしておく、ということを狙いました。もちろんβカロテンだけでも不足なく給与して消化吸収できる状態であれば問題ありません。(なかなか難しいですが…)
総括すると、
肝機能低下により性ステロイドの代謝機能が弱まった牛を、ビタミンEで肝機能を回復させ、自ら性ステロイドをある程度作れるようにし、ビタミンAとβカロテンで更に性ステロイド産生を促したことによって発情を回帰させた
ということになります。
次回は実際にこの処置が適当だったかどうか、給与期間や同期化処置の方法なども含めて更に掘り下げたいと思います。