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仕事の多様化が田舎暮らしを後押し。北海道移住を実現させた共働き夫婦のリアル
移住の豆知識
公開日:2022年4月25日

仕事の多様化が田舎暮らしを後押し。北海道移住を実現させた共働き夫婦のリアル

地方移住がトレンドになるほど田舎暮らしをはじめる人たちが増えています。単身者の場合は比較的しやすいが、共働き夫婦の場合は、片方のキャリアを捨てて地方移住すると後悔という遺恨にも繋がり二の足を踏む方もいるのではないでしょうか。そこで、キャリアを捨てずに念願の北海道移住を果たした夫婦を事例に、リアルな田舎暮らし事情をお伝えします。

目次

「仕事の多様化が田舎暮らしを実現させました」

2020年春。奥様を連れて、東京から北海道十勝に移住(※Uターン)してきた吉田春夫さん(仮名)。春夫さんは十勝出身。大学進学を機に上京し、卒業後は大手印刷会社の営業として10年間の社会人経験を積んできました。口癖は「結婚して子どもができたら、生まれ育ったふるさと十勝で家族と一緒に過ごしたい」と思い描いていました。春夫さんの趣味は子どもの頃から好きなスノーボードとキャンプです。実家に帰省の際は、冬ならスキー場へ。夏は地元の友人たちとキャンプと目いっぱい趣味を謳歌。東京に戻る際にいつも浮かぶのが「こっちに住んでいればいつでも好きなことができる……」でした。

ですが、地方移住をする際に誰もがぶつかる、地方(十勝)には自分が働ける会社=仕事がないことや、給与面での不安がありました。そんな悶々とするある日、都内で開かれた地方物産展で出会った地元自治体関係者から「地方には手厚い移住支援があり、相談窓口があるので気軽に連絡して情報収集が大事ですよ」と教えてもらい、さっそく連絡。すると、いくつかの候補企業のほか、移住後の住宅や移住支援金の存在など、手厚いサポート。相談から2ヶ月後には、納得できる条件を提示してくれた地元会社から内定を貰い、念願の田舎暮らしが転がり込んできました。唯一、気がかりだったのは当時交際してい彼女の存在でした。

田舎暮らしで仕事の不安はなかった。50代女性移住の本音を聞く

春夫さんとお付き合いする静香(仮名)さんは、東京都出身。美術系大学を卒業後は一部上場企業で広報兼映像クリエイターとして活躍していました。そんなある日、春夫さんから「十勝の会社から内定をもらった。結婚してついてきて欲しい」と言われます。静香さんは結婚には前向きでしたが、今のキャリアを捨てることに不安が残ります。恐る恐る、会社に相談すると「リモートを推進しているのでモデルケースとしてぜひ十勝で仕事を続けてほしい」との逆オファーでした。

そうして、2人は晴れて結婚。十勝での田舎暮らしが始まりました。現在、春夫さんは印刷物以外にもプロダクトデザインを手掛ける地元のデザイン会社で働き、仕事の幅も広がり、妻の静香さんは十勝に住みながら東京の会社の仕事を続けています。しかも、静香さんは東京での経験を生かし、地元企業の映像制作を副業で請け負っているそうです。

静香さんが「時代が後押ししてくれたのだと思います。私のケースはフルリモート社員の先駆けでしたが今では、多くの同僚たちが地方移住を果たし、フルリモート社員が全体の3割にまで増えました」と話す通り、静香さんの会社の動きと同様に都内大手を中心に「働く場所を特定しない制度」を導入している企業が増加しています。

※Uターン:生まれ育った故郷から進学や就職で都会へ移住した後に、故郷に移住すること

そもそも東京から地方移住者が増えるわけ

春夫さんと静香さんが田舎暮らしを実現できた背景のひとつには、新型コロナの影響で新生活様式という言葉が浸透する中、働き方も大きく変わりつつあったことでしょう。

大手人材紹介会社の担当者は、最近の人材業界のトレンド(首都圏)について「都内から埼玉や山梨など東京近郊の地方都市への移住です。また、それは別で増えているのが圧倒的にUターン者です」と、前述の夫妻のケースは稀有ではなく必然的に増えているそうです。

2021年に入ってからは、静香さんが勤める会社のように「働く場所を特定しない」を導入する企業が現実的に増えています。

すでに、トヨタ自動車、人材サービスを手掛けるパーソルグループ、NTTといった大手企業を中心にフルリモートワークを推奨する会社が増えつつあり、最近では、バックオフィス系業務のオンラインアウトソーシングサービスを展開する株式会社ニットのように国内外に住む約400人のフルリモートを実現させた中小企業も出てきました。“ライフスタイルに合わせて好きな場所、好きな時間に働ける”という新たな働き方が注目される中で、コロナショックでリモートワークが定着するなどを追い風に、地方へ移住する人も増えているというわけです。

2021年には、東京23区で初めて「転出超過」となり、転出者数が転入者数を1万4828人上回りました。また、東京・有楽町にあるNPO「ふるさと回帰支援センター」によれば、去年の地方移住相談件数は、約5万件と過去最高を更新。東京から地方への移住者は増すばかりです。

新型コロナが流行る前までは、“東京一極集中”が進み、少子高齢化による地方の過疎化に拍車がかかり、地方都市のシャッター街、農業の担い手不足など、地方の人口減少は待ったなしでした。ところが前述のコロナショックが新たな潮流を生み出しました。

前述の人材紹介会社の担当者はこう話します。

「以前は、定年退職を前に田舎暮らしを希望される方や都会暮らしのストレスから逃れたい人の相談が多かったのですが、最近は、パソコンがあれば仕事が成り立つIT関連の方やグラフィックデザイナーといったクリエイター職の方が増えていました。そこに、新型コロナの影響で完全リモートワークを推奨する企業が増えたことで、地方移住に拍車がかかってきているんです」。

つまり、潜在的にあった田舎暮らしや移住志向が、社会環境を変えるコロナショックによって現実的となり顕在化してきたというわけです。

新生活様式は、場所に依存しない働き方、「ワーク+バケーション」を繋げて造語したワーケーションなる働き方を流行らせ、地方のリゾート地やキャンプ場で長期的に住みながら仕事をするビジネスパーソンや推奨する企業も増えているといいます。

地方移住者が増えたことで情報発信を強めているのが、「おらがむら・まちに住んでください」という過疎や人口減で労働者不足が顕著な地方自治体によるラブコール合戦です。

住宅や仕事斡旋は当たり前。百万円単位の移住支援金も

働き方に多様性が生まれたことで進む地方移住。このトレンドに乗っかり、成功を収めているのが移住促進に力を注いできた自治体です。

日本では東京一極集中と言われますが、北海道では札幌市への一極集中が進み、それ以外の地方都市や町村の過疎化が深刻となっています。ところが、人口減少を食い止めた町があります。それが、前出の春夫さん夫妻も移住を決めた北海道十勝地域にある上士幌町です。いまでは「奇跡の町」と呼ばれるほど多くのメディアで取り上げられているんです。

その理由について、詳しくは、過去記事「あこがれの田舎暮らしを支える仕事と支援。移住を促す上士幌町の取り組み」をごらんください。

あこがれの田舎暮らしを支える仕事と支援。移住を促す上士幌町の取り組み

奇跡の町「上士幌町」ですが、一朝一夕で実現したわけではありません。田舎暮らしの場所を決めたあとは、仕事について悩みます。同町にはハローワークはありません。そこで、独自の上士幌版ハローワーク「上士幌町無料職業紹介所」を作り、仕事を探している人と企業の間に入って斡旋と紹介、つまりはマッチングをしてくれています。

サイトでは、上士幌町の企業の採用情報が詳細に紹介されており、企業からのメッセージなども掲載されています。ハローワークのように様々な手順を踏まなくても、サイトのフォームからいつでも相談することができるのも特徴です。

次に取り組んだのが、子育て支援です。地方移住で困るのが親戚や頼れる人がいないことですが、ご安心ください。同町では、高校卒業までの医療費を全額無償化や認定こども園ほろんの幼稚園料・保育園料の無料のほか、住宅新築・中古購入への支援金など、子育て世帯への手厚い支援があります。

他にも、町内での買い物のポイントを貯めると5,000円分の商品券と交換できるカードを高校生以下に配布や、田舎暮らしの必須アイテムである、カーシェアサービス(1時間1,000円で自動車を借りられます)、24時間対応の緊急通報システム・除雪費助成、基本健診・人間ドック・脳ドックの費用助成といった健康支援など、単身から家族、あらゆる年代に優しい支援が揃います。

40代の田舎暮らし、仕事は?家族は?転職して移住したリアルとは

2019年に東京から上士幌町に移住した30代の母親は『認定こども園ほろん』では、外国人の先生が英語を教えてくれる教育もあるんです」と話す通り、地方だからといって教育面で劣ることもありません。おかげで、2015年の開園時に102人だった園児は、22年度には170人に増えたそうです。

移住者の中には、会社勤務を選ばず、同町が力を注ぐ新規創業支援事業の助成金を活用して起業する強者もいるそう。「かみしほろシェアOFFICE」は、テレワークの拠点として利用できるシェアオフィスで、「hareta(ハレタ)かみしほろ」は、起業化支援センターとして多くの若者が訪れといいます。

加えて、上士幌町では、移住を検討している人を対象にした生活体験住宅もあります。家具や家電などが備え付けられていて、1週間から1年単位で試しに住むことができます。

こうした取り組みの中心が「NPO法人上士幌コンシェルジュ」の存在です。

同町担当者は「同町移住促進の切り札的存在です。あらゆる移住支援の術が備わっています。竹中貢町長を中心に長年にわたって取り組んできた成果が今に繋がっているんです。いきなり人口増につながってわけではなく、時間をかけで制度を充実させながらこまめに情報発信を続けた結果です」と話します。

結果的に、上士幌町の人口は2015年の4886人から、21年には4935人に増え、町外からの移住者も毎年数百人単位で増えているそうです。

今も昔も都会を離れて田舎暮らしを希望する人はいます。ただ、これまでは多くの超えなくてはならないハードルがいくつもありましたが、時代が変わり、多くの障壁が緩和され、地方移住が身近になっています。情報収集という一歩を踏み出し、行動に移すことが田舎暮らしへの最短ルートと言っても過言ではありませんね。

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