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酪農家とは?年収は?仕事内容と酪農経営の基本のき(前編)
牧場の仕事を知る
公開日:2022年9月26日

酪農家とは?年収は?仕事内容と酪農経営の基本のき(前編)

「酪農の仕事に興味がある」「酪農家になりたい」「牧場や動物と触れ合える仕事がしたい」と思っている人は多いはずです。しかし、酪農家の仕事や年収、働き方などの情報は、身近に酪農家が存在しないかぎり知ることは難しいですよね。そこで、今回は気になる酪農家の年収役割、酪農家になるためには?について前後編の2回に分けて解説します。

目次

酪農家の役割と仕事内容は?

そもそも酪農業という業界自体がイメージできないという人も多いはず。ぼんやりと「牛さんから生乳を搾って売る」というのが酪農家の役割であるのはわかるけれど、一体それだけなんでしょうか?

生乳販売

酪農家は自分の牧場の牛から生乳を搾って、それを自分の牧場にあるバルククーラーに一時保存します。バルククーラーとは、冷却貯乳槽のことで生乳はそこで10℃以下に冷却、貯乳されます。雑菌の繁殖を防ぐためです。
次に、タンクローリーと呼ばれるトラックが各牧場をまわり生乳を回収し、その後、各メーカーの工場へ運ばれて加工されます。牛乳になったり、ヨーグルトやチーズの原料として活用されるのです。
「生乳と牛乳の違いは?」という質問を受けるのですが、ざっくりいうと、牛さんから絞ったものが「生乳」。メーカーが販売する商品は「牛乳」と思えば間違いありません。つまり、酪農家は「生乳」をメーカーに販売して、収入を得ているというビジネスです。

酪農とは?牛乳や乳製品の原料を生産する「酪農」を解説します

子牛の生産と販売

さて、生乳生産は酪農家の十八番であるため、どなたも想像がつきやすいと思いますが、「子牛の生産と販売」と聞いてピンときた方はあまりいないのではないでしょうか。実はこれもしっかりとした酪農家の役割なんです。

まず、前提として生乳生産を行うためには、親牛が子牛を産むことが必要です。
一体何故だかわかりますか?
それは、人間と同じように、哺乳類は子どもを産まないとお乳がでない生き物だからです。つまりは、酪農家が生乳生産をするために、親牛に子牛を産み続けてもらわないといけません。そうです。子牛の生産と販売は生乳生産を行う上で副産物として出てくるものなのです。
酪農家は産まれた子牛を自分の牧場で育て、次世代の生乳生産牛として確保したり、もしくは、所有している牛がたくさんいて不要なのであれば、数日~9ヶ月ほど育てて市場に出し、他の農家さんへ売りに出します。
このように、副産物としての子牛生産ですが、生乳生産を続けて行くためには、欠かせない過程なのです。

それではこれを踏まえて、酪農家のしごとについて大まかに見ていきましょう。

搾乳

もちろん、酪農といえば搾乳=乳搾りというイメージをお持ちの方は多いでしょう。観光牧場などでは牛の搾乳体験があったりして子どもの頃に体験したよ!という方は多いはず。詳しい一日のスケジュールは別のページに纏めていますので、そちらもご覧ください!

酪農の仕事の内容を全部見せます!未経験者必見です。

牛床替え

牛舎飼いの酪農家さんは必ず行います。牛の糞尿が落ちて汚くなった牛床を取り替える作業です。牛だって汚い場所で生活したくないですよね。
特にホルスタインの糞尿は水分が多く、和牛よりも頻繁に牛床替えが必要です。大型のショベルなどの重機で行ったりなど、牛舎の大きさによってやり方は異なってきます。
牛床は、リサイクル堆肥を使用したり、ワラをしきつめたり、酪農家によって異なります。また、放牧している酪農家さんの場合は牛床替えはもちろん必要ありません。

繁殖・分娩

先ほどの、酪農家の役割の説明を読んだ方にはご理解いただけると思います。子牛を産まないと生乳が出ない牛さんですから、妊娠させることも仕事となります。
計画的に生産するためには、人間が人工授精や受精卵移植を行って牛さんを妊娠させます。家畜人工授精師と呼ばれる人が牛の発情に合わせて行う作業です。
酪農家の中に、この資格を持っている方は多くいます。そういった方は自分で人工授精を行い、牛の繁殖を行います。
もちろん、仕事として「家畜人工授精サービス」や「受精卵移植サービス」を手掛けている民間企業もあります。自分の技量でうまく受胎しない牛さんがいた場合は、専門の方にお願いするというのも一つの手かもしれませんね。
因みにノベルズグループも受精卵販売をしております!気になる方はぜひこちらのHPもご覧になってください!

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無事に牛さんが受胎し、妊娠できたら、その次は分娩介助です。産婦人科の看護師さんと同じように、子牛が産まれるまで親牛のサポートをします。出産の2~3ヶ月前まで、生乳生産を行い、その後は乾乳という出産に備える期間に入ります。だいたい受胎してから出産までの日数は283日と言われています。
因みに家畜人工受精師になるためには、国家試験をクリアしなければなりません。受験資格は特にありませんが、家畜人工授精師養成講習会など各地自体が主催する講習会の課程を修了した後、試験を受験する流れとなります。だいたい2週間程度のプログラムです。
どなたにも門扉が開かれている資格ですので、知識を獲得するという点においても、ぜひ酪農家を目指す人は取得したほうが良いかと思います。
私の知っている人の中には、高校生のうちに家畜人工授精師の資格を取得してしまった人もいました。

餌やり

毎日の欠かせない仕事にはもちろん餌やりも含まれています。これは牧場ごとでかなり違いが出るところかもしれません。私達、人間も家庭によって、朝はパンを食べるところもあれば、ご飯を食べるところもあると思います。それと同じで、牛も牧場ごとで食べている飼料=餌は異なります。
大きく分ければ、粗飼料と呼ばれる牧草や稲わら等の「主食」と、配合飼料と呼ばれるとうもろこしや大豆粕などをブレンドした人間でいう「おかず」の2つに分けて与えています。当然その種類は千差万別なので、酪農家は自分の飼っている牛に合ったエサを日々考えながら与えています。
例えば、各栄養素の割合、エサを与える順番や時間帯、その日の気温、牛の体調等、複合的な要素を組み合わせながら、適切な餌やりを行っています。
また、粗飼料と配合飼料を混ぜ込んで作るTMRと呼ばれるエサもあり、「混合飼料」「完全飼料」などとも呼ばれています。
また、他には牛の体調チェックや定期的な削蹄など、酪農家の仕事はまだまだたくさんあります!

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酪農家の資質

多くの仕事がそうであるように、もちろん酪農業も人によって向き不向きはあると思います。自分が本当に酪農業に向いているのか、不安な方は参考にしてみてください。

毎日同じ作業をこなせる

牛は変化に適応し辛い生き物です。例えば、搾乳の時間やエサの時間がいつもとバラバラになったりすると、牛さんはストレスを感じます。ストレスが溜まった牛さんは、乳量が落ちたり、エサを食べる量が減ったりして、酪農家の経営にも響いてきます。
基本的に毎日の仕事のルーティンを変えず、牛さんのストレスを生まないように動けるかが重要な資質になってきます。

周りの変化に敏感に察知できる

これも先ほどと同じような視点ですが、牛さんのストレスになるような要素にいち早く気づけるかという点も重要です。
例えば、風通しが悪い日には牛舎のカーテンを開けたり、気温が暑くなってきて牛さんがバテ気味なら、ミストをかけて涼しくしたりなど、危機察知能力が求められます。この気付きが遅くなると、熱中症をおこしたり、病気になって最悪死んでしまうこともあります。また、獣医師さんを呼んで治療を行う必要もでるので、そちらの対応に追われることになります。
牛さんは人間の言葉を話せないですし、体調が悪くてもじっと我慢をしてしまう生き物です。そんな牛さんの性格を理解して、毎日牛さんの顔を見て、小さな変化にもいち早く気づくことができるかどうかは、酪農家にとって非常に重要な資質と言えるでしょう。

酪農の仕事を1日体験!これを読めば、酪農に向いているかがわかる

いかがでしたか?
酪農家という職業は牛さんに餌を与えて、生乳を絞ることに注目されがちですが、深掘りをしていくと、こんなにもたくさんの仕事をしながら牛さんを飼っていることがわかったと思います。
やはり生き物を管理するのは一筋縄ではいかないですね。全国の酪農家さんには頭が上がりません。
さて、次回はみなさんが気になるお金のお話です。
酪農家は一体どれくらいの収入を得て生活をしているのか気になりませんか。
雇用形態と経営者で比較をしながら説明していきたいと思います。
ぜひ御覧ください!

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創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。

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