NOBELS WAVE農業で世界中に
驚きと笑顔を

MORE
酪農体験で「いのち」を学ぶ!酪農家を育成する教育ファームを取材
酪農を知る
公開日:2022年4月4日

酪農体験で「いのち」を学ぶ!酪農家を育成する教育ファームを取材

「酪農を通じて、食や仕事、いのちの学びを支援する」を活動のねらいとして、学校や教育現場と連携しながら、子どもたちに学びの場を提供する牧場が「酪農教育ファーム」です。平成22年に認証を取得し、全国から集う子供たちを受け入れる「i・ふぁーむ」(幕別町忠類)の岩谷史人さん、智恵さん夫婦にこれまでの歩みと具体的な取り組みについてお聞きしました。

目次

酪農教育ファームとは

「酪農教育ファーム」の発足は平成10年7月。教育現場での「心の教育」や生命の尊さを学ぶ「いのちの教育」の必要性と、酪農現場での「(酪農家という)仕事への理解や、乳製品の価値」を広く国民に訴求したいとの思いが合致して「教育の場として牧場を開放しよう」とした社団法人中央酪農会議の提唱によって、酪農教育ファーム推進委員会が設立したことに端を発します。同委員会の認定を受けた全国各地の牧場が、子どもたちの学びの場となりました。

「酪農教育ファーム」の取り組みは、子どもたちが人間と牛が共に暮す牧場を訪問し、牛などの生き物とのふれあいを通して命の尊さを知り、それらを世話し、生乳を絞って出荷することを生業(なりわい)とする酪農家の生き方を学ぶことによって、未来の酪農家を育てるきっかけにもなっています。

酪農インターンシップ、人気の理由は? 報酬あり・なし、どっちがいい?

日帰り体験コース

「i・ふぁーむ」の酪農体験は通年で行われ、日帰り体験と宿泊体験(1泊か2泊)の大きく2つに分かれています。日帰り体験は、午前(10時~)または午後(13時~)を選ぶことができ、体験は、まず座学から始まります。史人さんは酪農家について「牛たちが気持ちよく生活して牛乳を出してくれるよう世話をしています」と説明します。

次に、子どもたちは実際に牛舎に入って牛と対面します。参加する子どもたちの多くは道外出身者であるため、ホルスタインのような大きな牛は見たことがありません。「でかっ!」とたじろぐような姿も見られます。搾乳体験に進んでも、なかなか牛に近づくことができない子供たちもいるようですが、ご夫婦の指導のもと、少しづつゆっくりと距離をつめて、牛の肌に触れ、お乳を握って思い切って搾る。勢いよく飛び出すお乳を見ると、恐怖心はどんどん薄れ、初めての作業に没頭していきます。

搾られたミルクは透明の容器に収められ、その量が目視できるため、その量の多さ(約25kg)にも驚かされます。

エサやり、仔牛へのミルクやり、仔牛とのお散歩の後は、アイスクリームまたはバターづくりで約2時間の体験は終了。いよいよ牛たちとのお別れの時を迎えると、子どもたちの顔は達成感に満ちあふれた表情と、まだまだ離れがたいのか涙をこぼす姿も見られ、何度も牛をなででは「また来たい」「酪農をもっと学びたい」との声があちこちから聞こえてきます。「この時が一番うれしいし、今後の励みになります」とご夫婦は語ります。

北海道の酪農に欠かせないパートナー、酪農ヘルパーって何だろう?

宿泊体験コース

宿泊を伴うコースは、酪農体験のほかに田舎暮らしを楽しむメニューが用意されています。例えば、牧場の裏山に登って山菜採りをしたり、屋外に設置されたピザ窯でピザを焼いたり、川にニジマスを釣り行ったり。参加者同士も打ち解け、どんどん交流が深まります。

夜になると、疲れた体を癒すために、史人さんが近くの温泉まで子どもたちを車で送迎します。汗を流した牧場までの帰り道は、満天の星空がどこまでも広がっています。街灯など全くありませんので、慣れないと真っ直ぐ前に進むのさえ困難なくらいの暗闇です。史人さんは車を停め、子供たちは車から降りて、思い切り夜空を見上げます。音もなく、明かりも一切届かない一面の闇に身をおかれた都会暮らしの子どもたちは、一瞬声を失いますが、やがてその何もない永遠の世界にゆったりとひたりながら「一生ものの経験をした」と潤んだ目を輝かせるそうです。

十勝の旬の食材をたっぷりと使用した夕食や、翌朝の搾乳のあとの朝食もすべて参加者全員で作ります。「北海道の食も紀行も景色もすべてが大好き」と史人さん。智恵さんは「こんなにも素晴らしい恵まれた環境は、私たち夫婦の宝です」と話します。

岩谷夫婦の歩み

史人さんは京都府出身。小学5年生からの夢は「大農場の主(あるじ)」で、「いつかは憧れの北海道へ」と考えていたそうです。熊本県の東海大学農学部畜産学科に進学した史人さんは、ここで後に妻となる智恵さんと出会います。大学を卒業後、滋賀県の農協に就職した史人さんに、同県が芽室町に運営する肥育用の仔牛を育成する直営牧場への転勤の話が舞い込みます。この転勤をきっかけに、二人は結婚を決意。「新婚旅行を兼ねて」北海道へ旅立ち、芽室町を経て、さらなる転勤によって現在の幕別町忠類に移り住むことになります。

平成3年。幕別町忠類の育成牧場に勤務する岩谷夫婦にさらに大きな転機が訪れます。近所で酪農を営んでいた知り合いが、牛舎と住居を手放すので、ぜひ引き取ってほしいとの依頼を受けるのです。「これは運命だと感じた」と史人さんは、建物の購入を決意し、農協を退職します。牛は1頭もいませんでしたが、ここから夫婦の酪農家としての一歩が始まりました。

見渡す限りに雪に覆われた広い平野と、それを区切るように整然と並ぶ防風林。お隣まではどのくらいの距離があるのかもわかりません。除雪や買い物など、冬期間の生活はさぞ大変かと思いきや「雪が降ったら喜んでしまう内地の気質は変わらない」と智恵さん。除雪車の入る舗装道路までの私道は、夜中から史人さん自身が行いますが「これが意外に楽しい」。

「よそから来るひとのほうが、十勝の良さがわかるかもしれないな」との史人さんの言葉は、十勝で生まれ育った人なら、誰でも納得するはず。確かに、いつも見慣れた自然豊かな美しい景色に、ありがたみを忘れてしまっていることを自覚させられます。

伝えたいこと

「i・ふぁーむ」では、現在100頭の牛を飼育しています。コロナ禍を乗り越え、修学旅行生など、また多くの子供たちを受け入れたいと考えるご夫婦に、これからも子供たちに伝えていきたいことを改めてお聞きしました。
「使命感があるわけではないが、都会の人に、こんな生き方もあるよと。酪農家という職業をもっと知ってほしいな」(史人さん)

「牧場は命が生まれて、死んで行く場所。子どもたち自身が食べているのは命であることを身を以て知ってくれたら」(智恵さん)

酪農体験のお申し込み(要予約)は、以下URLをご覧ください。

料金など詳細はお問い合わせください。

酪農中央会議 北海道体験

株式会社 i・ふぁーむ 岩谷牧場
北海道中川郡幕別町忠類公親236番地
電話、FAX:01558-8-2027
メール:i-farm.churui@nifty.com

牧場で働くなら、ノベルズでチャレンジ!

創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。

ノベルズの採用情報へ

RANKING