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牛乳の“種類”、見分けがついていますか?
酪農を知る
公開日:2023年5月11日

牛乳の“種類”、見分けがついていますか?

酪農=牛乳のイメージでしょうし、スーパーに行けば必ず棚に並んでいる牛乳。おそらく、うちの冷蔵庫の中にもいつもあるよ、というご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、ひとえに牛乳といってもその種類は様々であることを聞いて驚く方も多いのではないでしょうか。さらにいえば、冷蔵庫にある牛乳は「牛乳」ではないのかもしれないのです。

目次

冷蔵庫にある牛乳は牛乳じゃないかも?

そもそも、牛乳とは厳密にいえばどういうものなのか知らない人も多いと思います。牛乳とは、搾られた生の牛の乳(生乳)を加熱殺菌したもので、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)では、種類としての牛乳は、乳脂肪分3.0%以上、無脂乳固形分(SNF)8.0%以上と規定されています。これだけではわかりづらいので、さらに説明すると、まず、牛乳から水分を除いた全栄養成分を「乳固形分」といい、そこからさらに「乳脂肪分」を取り除いたものが「無脂乳固形分」といいます。

しかし、現在では、昔ながらの牛乳に加えて、用途や栄養状態に合わせた様々な種類の牛乳があります。成分表のところに「牛乳」と書いてあれば、それは上で説明したような牛乳なのですが、「成分調整牛乳」や「無脂肪牛乳」と書かれているのを見かけたことはないでしょうか。

牛乳の種類

まず、「成分調整牛乳」とは、生乳から水分や脂肪分などを除去し、成分を調整したもののことを言います。これに対して成分が全く調整されていないものが「牛乳」なんですね。無脂乳固形分は牛乳と同じく8.0%以上となっており、低エネルギーと旨味のバランスをとったもので、最近は牛乳とほとんど変わらない味わいのものも多くなっています。

次に、「低脂肪牛乳」、「無脂肪牛乳」についてです。牛乳から脂肪分を除去し、低脂肪(0.5%以上1.5%以下)にしたものが低脂肪牛乳で、脂肪分がほとんどない無脂肪(0.5%未満)にしたものが無脂肪牛乳です。エネルギーや脂肪分以外の栄養価は牛乳とほとんど変わりなく、脂肪分が少ないので、牛乳よりもあっさりした味わいとなっております。

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3つ目に、「加工乳」について、加工乳とは、生乳に脱脂粉乳、クリーム、バターなどの乳製品を加えたものであり、乳脂肪分についての規定はなく、脂肪分を抑えた「低脂肪タイプ」と逆に成分を濃くした「濃厚タイプ」があります。低脂肪タイプは乳脂肪分1.0〜1.5%、無脂乳固形分8.5〜10.0%のものがほとんどで、牛乳に比べてエネルギーは低めですが、カルシウムは多めとなっていることが多いです。濃厚タイプは乳脂肪分4.0~4.6%、無脂乳固形分8.5~10.5%のものが中心で、味はコクが強くなっています。脂肪、たんぱく質、カルシウムなどの各成分も多いので、栄養価も高くなっています。

最後に、「乳飲料」についてです。乳飲料とは、生乳や乳製品を主原料にビタミン、ミネラルなどの栄養分や、コーヒー、果汁などを加えたものです。乳飲料は乳固形分を3.0%以上含むことが規定されています。カルシウムや鉄などのミネラル分を増量したものでは、味わいも牛乳とさほど変わらなくなっております。

普段何気なく買ったり飲んだりしている牛乳ですが、加工の有無や足されている成分の違いによってこんなにも多くの種類に分かれているとは、驚きだった方も多いのではないでしょうか。知っておくと便利ですので、ぜひ覚えておいていただければと思います。

産地による牛乳の味の違い

種類別による牛乳の違いについては理解していただけたと思いますが、産地によっても牛乳の味が大きく違うこともご存じだったでしょうか?

というのも、牛乳を生産している乳牛たちは当然のことながら動物であり生き物ですので、品種の違いなどはもちろん、えさの違い、飼育の環境、地域、季節、年齢などのさまざまな要因によってその生乳の質が変動することがあります。また、牛乳の味を決める成分(乳脂肪や無脂乳固形分)も乳牛の個体差によって変わりますし、乳の殺菌条件によっても風味は多少異なったものになります。

産地が違うことで変わってくるのが、まずえさの種類。例えば、草そのものや草を原料に作られたえさでは、主原料の草の繊維が乳脂肪の原料になり、トウモロコシや大麦、大豆などの穀類が原料となるえさでは、それに含まれたタンパク質やデンプンが無脂乳固形分のもととなります。

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また、産地の気候によっても味わいが変わります。もともとホルスタイン種は寒い地域の牛なので、寒さに強い一方で、暑さには弱いという特徴があります。これにより、乳牛は、外気温が25℃以上になると、ヒートストレスを感じるようになります。このため、気温の高い地域だったり夏になったりすると、採食量が減少し水をたくさん飲むようになるため、脂肪分が低下します。だから、酪農は北海道などの寒い地域で盛んなのですね。

牛乳と生乳を支える酪農とは

ここまで、牛乳の種類や産地によるちがいについて説明してきましたが、そもそも牛乳を作っている「酪農」とはどういうところなのでしょうか?

「牛乳を生産する農業」のことを酪農と言いますが、そもそも「酪」というのは、牛などの乳から作った飲料のなどのことなのですね。

酪農のサイクルは、まず生まれた子牛を哺育・育成するところから始まります。生まれた子牛は2か月の間、子牛用の粉ミルクなどで育てられ、哺乳期が終わるとトウモロコシや大豆などを原料としたえさや牧草を食べて育ち、300㎏を超えて妊娠ができるようになるまで育てられます。

そこまで成長すると、授精師によって人工授精(種付け)が行われ、無事に受胎すれば10か月後の子牛の誕生に向けて大切に飼育し、やがて分娩を迎えます。そうして子牛を出産して初めて生乳が生産できるようになります。牛は毎日20~30リットルほどの乳を出すのですが、しっかりと乳が出せるよう、牛の健康を守るために飼養管理や衛生管理が徹底されています。

どんな牛でも365日生乳を出せるわけではなく、子牛が生まれて初めて出せるようになります。そのため、出生から成育、妊娠、出産まで、酪農家の方々は気を抜くことなく牛の健康や衛生状態の管理に気を配り続けます。酪農とは本当に大変な仕事なのです。みなさんも、牛乳や乳製品を飲んだり食べたりするときには、そんな酪農家の方々の努力や苦労に思いをはせてみてください。

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