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「国際農業機械展」で最新の酪農機械、搾乳ロボットを見てきた!
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公開日:2023年7月18日

「国際農業機械展」で最新の酪農機械、搾乳ロボットを見てきた!

「第35回国際農業機械展in帯広2023」が、7月6日~10日の5日間、帯広市内の北愛国交流広場で開催されました。“農業王国” “酪農王国”、北海道・十勝で4年に1回開催され、全国の農業関係者が注目する一大イベントですが、コロナ禍による感染予防の影響もあり、5年ぶりの開催となりました。広い会場では、最新技術の大型トラクター、農業、酪農、畜産関連の作業機械、施設設備が所狭しと並ぶ中、今回は酪農機器の中から搾乳ロボット(自動搾乳システム)の展示内容を中心にレポートしたいと思います。

目次

「国際農業機械展」とは?

通称 “農機展” と呼ばれている国内最大級の「国産農業機械展」の歴史は古く、公式ホームページによると、前身は1947年に十勝で開催された「自由市場交換即売会」まで遡ります。その後、「畜力農機展示会」、「全道農業機械展」へと形を変え、1967年開催の第19回には名称が「全国農業機械展」と変更。1982年の第25回以降は4年に1度の開催となりました(前回までサッカーW杯と同じ年に開催)。

2002年開催の第30回からは「国際農業機械展in帯広」として、より国際色豊かな最先端の農業機械技術が集結するイベントへと発展。主催団体にはホクレン、一般社団法人北海道農業機械工業会、十勝農業機械協議会、特別協力団体として十勝地区農業協同組合長会が名を連ねています。

今回の農機展のテーマは、「農業への挑戦 北の大地から」。生産現場が抱える人手不足、コスト削減、品質向上、大規模化など様々な課題に対して、114のメーカーや販売代理店、団体などが出展し、農業のスマート化を提案し、ICTやロボット技術、ソフトウエア技術、アイデアを活用した様々な最新機器、ソリューションの製品、資材をPRしました。

農業機械整備士という職業、ご存じですか?

15万人が来場! 農機展の特徴、初めての農機展で感じたこと

北海道へ移住して4年目。今回、初めて来場した身として、農機展の特徴や実感した点について、少し触れたいと思います。はじめに、“農業王国” “酪農王国” 十勝らしく、屋外イベントで広大な空の下での開催であること。これは大型農業機械の展示会ならでは。もちろん、大型テントの中で展示する企業・団体も多数ありますが、やはり実際に農場で使用する機器の展示は、青空の下の方がよく映えます。

次に入場料が無料であること。農業機械のユーザーである農家や農業関係者も嬉しいですが、地域の人にとってもこれはありがたい限り。会場周辺の車の混雑を避けるために、帯広駅前などから無料のシャトルバスが多数出ている点も◎です。

また、メインステージ上での各種催しや、十勝・帯広で生産される食材や有名店の味を一同に楽しめる、「フードバレーとかち食彩祭」の併催もあり、週末は家族や学生とった一般客も含めて、世代を問わず老若男女で賑わっていました。特に、最新の農業機械に羨望の眼差しを送る農家さんや、麦わら帽(出展社のノベルティ)を被って場内を来場客、アジアからの視察団、大きな農業機械の操縦席座って記念撮影する親子、出展ブースでスタッフに熱心に質問する学生服の生徒たちの姿は、首都圏のビジネスイベントでは見られない印象的な光景であり、農家さんにとっての商談機会に加えて、一般の方、若者が農業機械や地域食材を通じて広く農業に触れるきかっけにもなる展示会ではないかと思います。

ちなみに、食彩祭では当社生産のブランド牛、「十勝ハーブ牛」100%のパテのほか十勝食材を重ねたクラフトバーガーを、移動販売している「TRAILER BURGER 99」さんも出店していました。

地元紙・十勝毎日新聞の報道によると、計5日間の来場者は過去最高だった20万人超の前回には及ばなかったものの、5日間で約15万5,000人が来場しました。

最新搾乳ロボットその①SAC「GEMINI」

今回の農機展では、2つのメーカーの最新搾乳ロボットのデモ機を見学してきました。個人的に間近で搾乳ロボットを見るのは初めてのこと。自動搾乳システムを導入すれば、搾乳作業自体はロボットが行うため生産現場の省力化につながります。

最初に見学したのは、酪農機械、資材の総合メーカー、本多製作所のブースで展示されていた、デンマークSAC社製の「GEMINI(ジェミナイ)」です。SAC社は酪農先進国、オランダにも開発拠点を置く企業です。ブースではシングルボックスのデモ機が展示されていました。

本多製作所の説明員の方にGEMINIについてお話を伺ったところ、従来モデルとの差分を3点挙げてくれました。一つめは、ロボットアームが後ろから出てくる仕様になり、後ろ絞りになったこと。従来の横絞りだと特にハエがたかる夏場には、ロボットアームがハエを追い払おうとする牛の足で蹴られて、乳房・乳頭の位置合わせをしている最中に動作が止まってしまうこともあるのだそう。最新モデルは、ロボットアームの動きが牛の視界に入ることもなく後ろ足の間から伸びるので、ストレス軽減に寄与します。

もう一つは、搾乳カップを乳頭に装着するための位置合わせの際に、従来は照射したレーザーの反射をスキャンして読み込んでいたため、読み込めない場合は2回、3回と動作を繰り返し装着まで一定の時間を要していました。しかし、最新モデルでは3Dカメラで乳房・乳頭の位置を画像認識をすることで、より的確で早い装着が可能となり、その点でも牛のストレス軽減に繋がっています。

その他、最新モデルから、ロボットの動作状況を遠隔監視できるようになりました。従来はユーザーの酪農家さんからトラブルの電話を受け、現場に行かないと原因究明できないことが多かったようですが、業務管理、保守サービスの面で、顧客と保守双方のコミュニケーションが効率的になりました。

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最後に導入効果について、PRしてもらいました。

「通常、120頭を1日2回搾乳する場合、保有するパーラー設備の規模にもよりますが、従来3人は必要であったところ、搾乳ロボットを導入することで人手が1名で済みます。そして、1頭あたりの処理時間の短縮、1日あたりの搾乳処理頭数の向上に貢献します。生乳を何キロ出すか、泌乳速度など個体差はありますが、GEMINIだとスムーズに進めば搾乳準備(乳頭洗浄、刺激、前絞り)まで約1分半。ボックスに入ってから搾乳が終わって出るまで平均10分程度です。ボックスの中での拘束時間が短くなれば、牛のストレスも軽減されます。処理能力はシングルボックスで1日あたり60~70頭、ダブルボックスで110頭程度です。前のモデルにはなりますが、家族3人で経営しているつなぎ牛舎の酪農家さんが、シングルボックスを2台導入しました。省力化でお父さん、お母さんの作業負担もなくなり、育成やエサ、畑仕事など、より他の作業に時間を充てるようになったそうです」(説明員)

「GEMINI」の本体価格はシングルボックスで約4,000万円(バルククーラーまで生乳を送る配管やコンプレッサーなど付随する機材は別)となっています。

最新搾乳ロボット②デラバル「VMSTM V300」

次に農機メーカー大手のクボタのブースで、創業135年の酪農機器メーカー、スウェーデンのデラバル社製の「VMSTM V300」を見学しました。

クボタの説明員の方に「VMSTM V300」の特徴について、いくつか挙げていただきました。一つは、本機のロボットアームは横出しタイプになりますが、先ほどのSAC社「GEMINI」同様に、ロボットアーム部分に3Dカメラが装着され、乳房・乳頭部を素早く正確に検知できるようになりました。また、ハードウエアだけではなく、他社製品と比べてより早くスムーズな動作を実現し、自己学習能力もある独自のソフトウエア技術「InSightTM(インサイト)」の優位性をアピールしていました。3Dカメラが装着されているエンドエフェクター部も堅牢性に優れ、水で洗い流せるなどメンテナンス性も向上しています。

「VMSTM V300」の優れている機能は、自動搾乳のスムーズ化、メンテナンス向上だけではありません。本体には様々な補助装置が付属しており、「DelProTM(デルプロ)」という牛群管理ソフトウエアで、搾乳状況、乳質などをPC画面上で、一元管理、分析できます。

「例えば、ミルクメーターが分房別に付いていますが、絞ってから電気伝導度と血乳で乳質を分析しています。体細胞を測定する装置も付属しており、体細胞が高ければ、管理ソフトを使って発見し、搾乳から外すことができます。また、『Hard Navigatortm100(ハードナビゲーター)』という繁殖・発情管理装置も付いています。分房別に絞った生乳をジャーで合乳して、それをサンプリングしています。牛乳は血液からできているので、その中のホルモン値(プロゲステロン値)で牛の発情状況を見ることができます。受精の兆候を人の目視だけに頼らず見落とさないための機能です」(説明員)

そのほか、本体にはエサ箱も付属しています。例えば、高泌乳牛(たくさん乳量が出る牛)にはフリーストールで給餌するTMRとは別に、もっと濃厚飼料を与えたい場合は、その場で給餌できるようになっています。エサ箱を用意することで、牛がロボットに来る動機づけや、エサに集中してくれることで大人しくしてくれる作用も兼ねています。

最後に導入効果について、PRしてもらいました。

『VMSTM V300』本体は約3,000万円です。1台で約60頭分の処理能力があります。個体にもよりますが、牛が入ってから出るまでの所要時間は約7、8分です。搾乳頭数の規模が大きい酪農家さんであれば、一箇所に『VMSTM V300』を10台、20台配置する『バッチミルキングシステム』を提案しています。通常のロボット搾乳の場合と導線が少し異なり、より多く絞れることが期待されます」(説明員)。

「VMSTM V300」を使った “バッチミルキング”のパンフレットによると、バッチ式搾乳の処理能力は、諸条件によりますが1日の搾乳回数は3回が基本で、1時間あたり約7~8頭と試算しています。30台の導入で、1時間240頭分の処理が可能で、搾乳頭数が1,000頭規模の場合、全頭1回の搾乳が約4時間で終わる計算です(待機時間60分、3回搾乳時想定)。

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その他今回展示のなかった搾乳ロボット

今回の農機展での展示はありませんでしたが、他にも各メーカーから搾乳ロボットや、完全自動のロータリーパーラーが販売されていますので、参考までに紹介します。

*オランダLELY社「ASTRONAUT A5(アストロノート)
*ドイツGEA社「DairyRobot R9500(デイリーロボット)
DAIRYPROQ(デイリープロ キュー)


今回は、国際農業機械展の模様を、最新の搾乳ロボットの展示内容を中心にご紹介しました。振り返ってみると、農業機械や建設機械とは異なり、搾乳ロボットが欧州メーカー製ばかりであることに気づきました。これは酪農産業の歴史や市場規模の背景もありますが、ぜひ要素技術の部分でも、日本人のエンジニアにはチャレンジしていただきたいと思いました。

現在、酪農家の戸数は、高齢化や後継者不足、経営環境による離農により、毎年減少傾向にあります。一方、大規模化も進み、異業種から酪農企業に転職する社会人も増えていますが、人手不足であることには変わりません。そういう中で、大きな設備投資のハードルはありますが、搾乳ロボットのような自動化システムは、生産現場の効率化、日本の酪農業の維持・発展につながる重要な要素の1つです。そして、食のインフラ貢献にとどまらず、ハードウエア、ソフトウエア技術とデータを活用し、酪農・畜産業のビジネスとしての可能性や魅力を広げることで、新たな担い手が集まってくることを期待しています。

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創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。

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