北海道の酪農を知る。日本No.1の酪農王国で働くための基礎知識
北海道と酪農は切っても切れない関係です。北の大地、地平性まで続く大草原や畑。放牧されている牛など、北海道=酪農のイメージは想像に難くないですよね。それもそのはず、北海道の生乳生産量(2020年)は415万トン以上で、全国の都道府県別でダントツの1位。日本の生乳生産の50%を占めているんです。まさに北海道は「酪農王国」なんです。
北海道の酪農は全国トップ。生乳の半数は北海道産です。
「北海道はでっかいどう」と誰しもが聞いたことのあるキャッチコピーの通り、北海道は広大です。面積は九州の2倍以上で日本の面積の約20%を占めます。そんな北の大地を活用することで、北海道=酪農王国と呼ばれるほどに急成長を遂げてきました。
数字で見るとさらに大国・王国と称されるのがわかるはず。北海道は全国の1/4の農地を有する日本の食糧基地で、食料自給率は、なんとカロリーベースで200%を超えます。だからこそ、牛さんの餌や寝所にもなる牧草地も約50万ヘクタールも耕せるというわけです。
広さがわからない方には、お馴染みの東京ドーム換算でいうと、約106万9,404個分です。さらにわかりづらくなりましたね。そのくらい、広大な土地を持ち、畑や牧草地を保有できるということです。
リードでも書きましたが、酪農王国「北海道」は伊達じゃないんです。2020年の生乳生産量は415万トン以上で、都道府県別でダントツの1位。日本の生乳生産量の約半分を占めています。つまりは、日本で飲まれる牛乳や国産チーズやバターの原料の半分を北海道産で賄っているというわけですね。飼養頭数や細かなデータでも示したいところですが、詳しくは過去記事をご覧ください。
北海道酪農の歴史は?北海道自体の歴史が浅いのに酪農が発展したわけ
ここまで成長を遂げた北海道酪農ですが、その歴史は浅いんです。当然ですよね。北海道は明治以降に開発された日本のラストフロンティアです。開拓後に酪農がもたらされてから発展を遂げます。
一方で、世界の酪農の歴史は古く、我々、人類が狩猟生活(縄文時代)から農耕生活(弥生時代)に入った頃には、酪農が生まれたと言われています。時は流れて、生活の糧としての酪農が定着し、牛専門の現在の「酪農」として日本ではじまったのは、千葉県南部(現南房総市)に設置された「嶺岡牧(みねおかまき)」からだそうです。
その後1876年には、明治時代の実業家であり政治家でもあった柳田藤吉氏の手によって、北海道根室に国内初の近代的な大規模牧場「東梅牧場」が開かれ、これが北海道酪農の礎となりました。
柳田さんが牧場を開く少し前、当時は北海道開拓使がおかれたばかりで、北海道開拓長官の黒田清隆(後の第2代内閣総理大臣)さんが、初めて北海道農業の基本方針を立て、米国から開拓使顧問、ホーレス・ケプロンさんを招聘。ケプロンさんらが中心となり「開拓使十ヵ年計画」が策定され、これをもとに北海道農業が発展を遂げていきます。
そして、ケプロンさんの推薦で来日した、エドウィン・ダンさんは、真駒内で飼料作物を作り、大規模な牧場を設け、畜産農業普及の基礎を作り、「北海道土地払下規則」や「北海道国有未開地処分法」の制定により、前述の柳田さんのような民間投資家が次々に牧場を開きはじめたそうです。これがきっかけで、今の雪印メグミルクやよつ葉乳業といった有力な牛乳・乳製品メーカーが北海道に工場を構えるようになったわけですね。
北海道酪農の発展は十勝と釧路など北海道の東側(道東)が支えています
北海道酪農の発展は広大な土地に牧場や牧草畑を作れたからで、今では北海道全体に酪農地帯が広がっています。ただ、北海道も地域によって気候も風土も違うため、酪農も地域によって特徴や適した場所があるんです。特に道北・道東は、冷涼な気候を生かして酪農が盛んに行われています。
道東は、根釧台地(こんせんだいち)と呼ばれる火山灰に覆われた広い大地。火山灰は保水力に乏しいため、稲作や畑作は適していませんが、牛が好む低温で冷涼な気候であり、夏でも気温が低くて涼しいので、高温になると腐りやすくなる牛乳や乳製品を扱うのに向いているというメリットがありました。
道東の中でも十勝は、北海道の酪農基地で最大のポテンシャルを秘めていました。十勝の強さは「日本の食料基地」とも呼ばれ、酪農だけでなく畑作も盛んな点です。記事の冒頭では、北海道の食料自給率を200%と紹介しましたが、十勝は約1100%と北海道の食料自給率を支えている屋台骨です。
牛の餌や寝所となる牧草やデントコーンを栽培できる点でも、根釧台地の釧路・根室よりもアドバンテージがあり、その結果、北海道の生乳生産量が全国の生産量の50%以上を占める一方で、その中でも十勝のシェアは高く、酪農においても北海道全体を支えているわけです。
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