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日本にいる牛の種類、皆さんは全部言えますか?酪農・肉牛どちらも紹介します!
酪農を知る
公開日:2022年11月7日

日本にいる牛の種類、皆さんは全部言えますか?酪農・肉牛どちらも紹介します!

スーパーに並んでいる牛肉や牛乳を私たちは当たり前に購入していますが、それがどんな種類の牛のなのか、詳しく説明できる人は少ないでしょう。私も牧場に勤める前はそうでした。でも実際に触れ合いながら、気づけば品種はもちろんのこと、性格や行動パターンなどなどがわかるように。今回はそんな牛について解説していきます。

目次

牛って結局どれくらいの種類がいるの?

「牛」と言ってもその種類が多岐に渡ることはみなさんご存知かと思います。

例えば、白黒模様のホルスタインや日本古来からいる黒い和牛などはすぐに浮かぶのではないでしょうか。

人間にも白人や黄色人種、黒人など様々に枝分かれされているように、牛さんも実はたくさんの種類がいるんです。以下からは畜産業の目から見た牛について詳しく解説していきます。

主に食用として飼われる肉用牛と牛乳や乳製品の原材料となる生乳を絞る乳用牛と大きく2種類に分かれていますが、そこからさらに分かれていて、調べると48もの主要品種があるようです。

雄雌関係なく角が2mほどまで伸びる牛や、首の後ろにコブができる牛まで、我々の想像を遥かに超える牛の品種も世界には存在しています。

その土地の風土や気候、土壌や生態系に合わせて牛も適応していった結果です。

それでは、品種ごとに詳しく説明していきましょう。本当は牛好きの皆さんのために全種類紹介していきたいところですが、あまりにも膨大な量になってしまうので、今回は日本にいる牛の品種について解説していきます。実は日本にいる牛もホルスタインや黒毛和種だけじゃないんです。

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日本にいる牛を見てみよう。【肉牛編】

肉牛から見ていきましょう。肉牛とはその名の通り牛肉になるために飼養されている牛のことを指します。日本で飼養されている肉牛は所謂「和牛」と言われる品種です。

皆さんも一度は聞いたことがありますよね。中でも鹿児島や宮崎の「黒毛和種」は有名ですね。日本の和牛の97%はこの黒毛和牛が占めており、実は主だった生産地が無く全国的に生産されております。その他、和牛には3種類あり「褐毛和種・日本短角種・無角和種」があります。種類は違えども「和牛」で分類されている品種です。

そもそも和牛は、明治時代以前の日本在来の牛をもとに、国内外の品種の牛と交配して作られた品種群のことです。品種改良は1900年代に始まり、その後、1944年に黒毛和種、褐毛和種、無角和種の3種を和牛として認定。57年に日本短角種が追加され、全てを和牛の総称で呼ぶようになりました。

つまり、和牛としながらも実は海外の牛さんの血統もかなり混じっていることはあまり知られていません

そんな4種類の品種について、一つ一つ説明していきましょう。

黒毛和種

「和牛=黒毛和種」と多くの日本人がイメージしている品種ですね。
毛色が黒単色であること、他の牛の品種に比べると体系が小型であること、粗飼料の利用性が低いことが挙げられますが、一番大きな特徴は、何と言っても肉質の高さです。

肉質は世界最高と称され、筋繊維が細く、サシが入りやすことが特徴で、とろけるような舌触りが国内外の多くの美食家に評価されています。一般的な肉用種としては歩留がやや低いので、希少性も相まって黒毛和種のA5ランクの枝肉は非常に高い値段で取引をされております。また、黒毛和種素牛(のちに肥育牛になる9ヶ月齢ほどの育成牛)も1頭70~100万円前後で取引をされ、世界で一番高い素牛と呼ばれています。

褐毛和種

体毛が黄褐色、赤褐色をした角のある牛の総称です。飼養されている地域は、熊本県、高知県、東北地方、北海道です。さらに詳しく分類すると、高知系熊本系に分けられ、高知系はオレンジ色、熊本系は金色の毛色をしていることが違いとして挙げられます。
特徴としては、体が大きく発育が良いこと、粗飼料(牧草など)の利用性が高く飼養管理がし易いこと、お肉のサシはあまり入らず赤身質の肉であることなどが挙げられます。

日本短角種

さて続いては、日本短角種です。こちらは褐毛和種や黒毛和種のように全国で飼われているわけでなく、東北と北海道が主な産地です。全国シェアの約7割が岩手県と北海道で飼育されています。

特徴は褐毛和種と似ている部分は多くあります。毛色は濃赤褐色単色で、体格が黒毛和種よりも大きく、粗飼料の利用性は高くて放牧に向いています。肉質は筋繊維が荒く、赤身が強いです。ちなみに、全国シェア40%を超える岩手県は、「いわて短角和牛」としてのブランドを立ち上げ、県全体で日本短角種の認知度向上を図っています。

無角和種

和牛の品種の中では一番飼養頭数が少なく希少な品種といえます。主な生産地は山口県の萩市で、大正時代に在来黒毛和種に外国産のアバンディーアンガスと交配したことによって誕生しました。アンガス牛の血を引いているので、増体や歩留まりの能力に関しては非常に優れているのですが、赤身が目立ち、サシが入りにくいことが特徴です。見た目はその名の通り、角が無いことが最大の特徴で、毛色は黒毛和牛のような黒色をしております。


いかがでしたでしょうか。和牛と呼ばれる品種は4つもありますが、黒毛和種が全国シェアの97%を占め、残りの3種は生産量が少ないという現状がわかったかと思います。

4種を比較して最大の違いは、お肉にサシが入りやすいかどうかということでしたね。

1910年代以降、消費者の肉質への指向が霜降り重視に変わって、85年の牛肉の輸入自由化がさらにその傾向に拍車をかけました。自由に海外の価格の安い肉が輸入されてくる状況に打ち勝つために畜産農家は「霜降り重視」に舵を切るしかなかったと言われています。

ただ、現在ではだいぶ品種改良も進み、サシが入ったお肉も昔よりは容易につくりだすことができるようになってきました。実はA5ランクの牛肉は、日本で出荷される和牛の約50%を占めて、もはや飽和状態に近づきつつあるんですよ。今後はさらに別の切り口から和牛の生産の発展は進んでいくのでしょうか?これからの業界の動きが楽しみですね。

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日本にいる牛を見てみよう。【乳牛編】

さて、続きまして乳用牛について解説していきましょう。乳用牛の役割はもちろん生乳生産です。私たちが毎日飲んでいる牛乳、ヨーグルト、チーズなどはすべて、乳用牛からでる生乳から作り出されています。実は日本にいる乳用牛は肉牛とは異なり、品種としての原産地は外国になります。一種類ずつ解説していきましょう。

ホルスタイン種

皆さんが「牛」ときいて一番初めに頭に思い浮かべるのは、こちらの品種かもしれません。特徴は何と言っても白黒の斑点模様。一頭一頭模様が違うので個性があって面白いです。もともとはオランダやドイツが原産地で、現在は全世界へ最も広く分布しております。またどの国においても、国の全飼養頭数に対して比率が高まっている品種であり、日本でも乳牛の99%がホルスタインです。全牛種中、生産乳量は最も多く、年間で5,000kg~10,000kgほどの生乳を産出します。また、20,000kgを超えると「スーパーカウ」と呼ばれます。もちろん牛さんの能力もあるのですが、給餌方法や飼育環境でも分泌量は左右されるため酪農家の努力と工夫の結晶が集まった結果がスーパーカウを生み出しています。

ジャージー種

こちらも名前だけは聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。よくアイスクリームや生クリームの製品に「ジャージー」という言葉が使われていますよね。ジャージー牛の原産地はイギリス領海峡諸島のジャージー島で、こちらもホルスタイン同様世界各国に広く分布しております。見た目の特徴は毛色が淡褐色で、目元が少し白みがかっています。ですので、黒い瞳がクリクリッと目立って、非常におとなしそうな顔つきの牛さんです。しかし性格はかなり人懐っこく、荒っぽい個体が多い印象です。ホルスタインよりも小柄ですが、同じ牛群で飼育しているとジャージー牛が群のボス牛になっていたというのは、酪農家の間ではよく聞く話です。
また、ジャージー牛は乳質が非常に優秀で、乳脂率は5%以上、無脂乳固形分は9%以上とどちらもホルスタインを上回っています。とても濃厚でまろやかな味わいです。バターチーズなどの加工品に向いているといえます。

ブラウンスイス種

最後にブラウンスイス種です。こちらの原産地は名前にもある通り、スイスから世界へ輸入された品種になります。見た目は灰色の毛並みを有しており、鼻と口の周りが白くなっているのが特徴です。日本ではほとんど飼育されている牧場はありませんが、最近はジャージー種と同じように乳質の良さや、生乳がチーズなどの加工品への利用に向いていることがわかってきました。こだわりの強い酪農家さんはこちらの品種を導入して自社で6次産業化を実施している方も増えてきております。

日本で使用されている乳牛を3種類ご紹介しました。皆さんご存知のホルスタインは生乳生産量に特化した品種であり、他の2種は乳質が優れていることが大きな特徴の違いとしてありましたね。ただ、昨今の余剰牛乳の問題から、もしかしたら今後は、ジャージー種やブラウンスイス種に注目が集まって、飼養頭数が日本の中で増えてくることも可能性としてあるかもしれませんね。こちらも業界の動向が気になります!

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いかがでしたか?普段は知らない牛の品種についての解説でした。

意外と和牛の歴史が第2次世界大戦頃に始まっていることに驚いた人も多いはず。実はそれ以前に、日本古来の在来種は外国の品種と掛け合わされており、純粋な日本在来牛というのは、ほぼ存在しないんですね。

鹿児島県の「勝早系」の血統の牛は、黒毛和種でありながら、昔の外国の牛の血が混じっているので、腹下回りが少し白くなって産まれる個体もいます。ちなみに純粋な在来種は今のところ日本で2つの地域だけに生き残っており、山口県萩市の見島牛鹿児島県十島村の口之島牛です。口之島牛は今も野生化した姿を見ることができます。

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