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ノベルズの持続可能な農業 その②「バイオガスプラントで酪農家の未来を変える」
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公開日:2022年6月6日

ノベルズの持続可能な農業 その②「バイオガスプラントで酪農家の未来を変える」

「ふん尿処理は畜産(酪農)にとって重要な問題です。ここを解決しなくては、持続的な農業、とりわけ酪農の規模拡大はできないんです」と語るのはバイオガスプラントの計画から建設・運営を手掛ける嘉藤農機の嘉藤淳介社長。持続可能な酪農におけるバイオガスプラントの果たす役割や優位性とは……。

目次

持続可能な農業の切り札「バイオマス発電」と「バイオガス発電」の違い

持続可能な農業に「バイオガスプラント」がどう貢献するのかを説明しましょう。バイオガスプラントとは、文字通り、バイオ燃料を使って発電する施設です。

では、よく聞くこともある「バイオガス発電」と「バイオマス発電」の違いはわかりますか。バイオマス発電は、生物由来の資源(バイオマス)を燃料として発電することを指します。例えば、林業で発生する製材時の廃材や未利用の間伐材、農業によって生み出された農業残滓、建築時に発生する建築廃材などなど。そして、バイオマス燃料を燃やして発生した水蒸気でタービンを回すことで発電することを「バイオマス発電」と言います。仕組みとしては、火力発電や、原子力発電と同じですね。

では、「バイオガス発電」とは?

こちらもバイオ燃料を使用するという点では、バイオマス発電と一緒です。大きく異なるのは、燃料を直接燃やすのではなく、燃料のもととなる材料(家畜の排泄物や食品廃棄物)をまず嫌気発酵させ、ガス(バイオガス)を発生させます。このバイオガスをガスエンジンに送り、発電機を回します。ガスを作る過程で残った消化液は液肥として有効活用もできるんです。この液肥は、一般的な液肥と比べると臭気も少なく、窒素・リン酸・カリがバランス良く含まれるとても質の良い有機肥料になるのです。

どちらも燃料においてはバイオ燃料ということで変わりません。大きな違いは、バイオガスの方は“液肥”が残ることです。

この液肥は、土壌の団粒構造を作り、水はけを良くする上に、処理過程で雑草の種子が死滅しているため通常の堆肥と比べ雑草が広がる心配がないそうです。また臭気も少ないため扱いやすく、この消化液を地域農家に利用してもらうことで、地域の循環型農業にも寄与します。

「酪農牧場では、毎日出る家畜のふん尿処理は大きな課題です。電力に変えられるバイオガスプラントは有効な手段の一つですし、発電過程で出る消化液を畑作農家さんの肥料として賄えれば、持続可能な地域農業に役立つのです」(嘉藤)

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バイオガスプラントは「耕畜連携」のサイクルの起点

ここまで説明すると、酪農家にとっては「バイオガスの方が良いということ?」と思われた方も多いでしょう。とはいえ、課題もあります。前述した通り、バイオガス発電には残った消化液(液肥)を液肥として畑作農家さんへ還元できるという利点はありますが、逆にいうと消化液を撒く畑がない場所では、最終処理の課題が発生します。また、例え、液肥の活用先が確保できた場合でも、消化液の施肥(せひ)のための機材や施肥の時期(春と秋)までの間、液肥をストックするタンクやラグーンといった施設が必要になるわけです。

他にも、バイオガス発電施設であるプラント建設も大きな負担となるでしょう。発生した電力の売電料や消化液の販売で得た収益でどの程度建設費を賄えるのが、さらには建設費の減価償却にどのくらいの期間がかかるのでしょうか。

「正直、一般的な酪農家では建設コストを賄えるほどのメリットは少ないでしょう。ただし、近隣の酪農家や消化液を必要とする畑作農家さんと共同で建設することで、地域共生につながるという側面を忘れてはいけません」(同)

嘉藤氏が話す地域共生によると、バイガスプラントが地域の酪農や畜産業を営む農家と作物を生産する稲作・畑作農家とを繋ぐ「耕畜連携」のサイクル起点になるのだそう。つまりは、酪農牧場から搬入する原料の畜産系バイオマスを原料に、発生させたメタンガスを燃料として発電すると同時に、畑作農家に需要の高い有機液肥の消化液を供給。畑作農家では、家畜の餌となるデントコーンを栽培し、酪農家へ提供するというサイクルです。

まさに“持続可能な農業”は、バイオガスプラントを起点とする「耕畜連携」のサイクルから始まるということでしょうか。

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酪農家にとって、家畜ふん尿の処理は切り離せない問題だが……

ではおさらいです。酪農業や畜産業にとって、家畜ふん尿の処理は切り離せない問題で、その解決策の1つがバイオガスプラントの建設ですが、問題は大きな設備投資費用がかかり、運用ノウハウも必要で導入のハードルが高いこと。とはいえ、“持続可能な農業”の実現には、バイオガスプラントを起点とする「耕畜連携」のサイクルが必要でしたね。

そこで、嘉藤氏は2021年1月、世界中でプラント建設を手がける業界大手ウェルテックバイオパワー社(ドイツ)とパートナーシップを締結。「世界各地に設置を進める同社のプラントは導入コストも国内の他プラントと比較して安く、設置期間も短いんです」(同)。

嘉藤農機が手がけるノベルズグループの浦幌デーリィファームのプラントも、ウェルテック社製。「ウェルテック社のサポートと、ノベルズが保有する既存のバイオガスプラントでの運営経験の蓄積により、計画から建設、運営管理までの総合的なサポートができるようになりました」(同)。

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これにより、投資費用の圧縮や運営ノウハウの不安が解消され、以前よりも導入ハードルは下がったと言います。

自身も実家の酪農牧場を経営していたことがある嘉藤氏。持続可能な農業の実現について、「私は根っから農業が好きなんです。『農業よ永遠たれ』との思いで、持続可能な農業を実現させて、次世代につなげていくのが使命なんです」と熱く語ります。

いま、日本最大級の農業(酪農含む)が広がる農業大国“とかち”は、不景気どこ吹く風よと、農業生産額最高益が続いています。これは、嘉藤氏のような持続可能な農業を目指す、熱い人材が揃うとともに、そうした熱意に惹かれて集う若者が増えているからしょう。皆さん、ぜひとも一緒に次世代の農業を作り上げていきませんか。

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創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。

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