田舎暮らしに憧れて…仕事も趣味も!輝く女性にインタビュー WE LOVE TOKACHI! ③
田舎暮らしに憧れて都会から十勝に移り住み、仕事でもプライベートでも輝く女性を連載で紹介します。
年齢:33歳
◆出身地:東京生まれ、京都、山梨、横浜育ち
◆職業:本にまつわる仕事ほとんどすべて
◆趣味:本を読むこと、韓国語の勉強、お笑いを見ること、道内各地を旅行すること
◆行ってみたい国:場所:ウズベキスタン、韓国、アイスランド、ブータン、銀山温泉(山形)、牧野富太郎記念館(高知)、中谷宇吉郎雪の科学館(石川県)
◆十勝のイチオシグルメ: 浦幌町 元木さんのトマト(野菜直売所で販売しています)・六花亭のいちごチョコレート
◆十勝のイチオシスポット:幕別町明倫のカフェ ノヤ
社長室
帯広生まれの帯広育ち
2021年4月入社
北海道との出会いから移住まで
今日はどうぞよろしくお願い致します。
東京生まれの長谷川さんですが、まず十勝に移住することになったきっかけを教えてください。
はい。私は、もともと山梨県の南アルプスのあたり(清里や八ヶ岳)やスウェーデン(学生時代に1年留学していた)、そして北海道のような冬が似合う静かな場所の雰囲気がとても好きで、高校3年生の冬に初めて北海道を訪れて以来ずっと「いつかは住みたい」と思っていたように思います。
それは都会を離れて、田舎暮らしをしてみたいといったような感覚でしょうか?
いえ、私の場合は、「田舎暮らし」に憧れていたわけではなく、ただただ北海道に住みたかったんです。
北海道と出会ってしまった(笑)高校時代を経て、大学は京都に進学されたんですね。
その後、いつかは住みたい北海道への移住計画はどんな風に持ち続けていたのでしょうか?
はい。就職活動の際も、北海道の企業を数社エントリーしていたもののどことも縁がなく、いったんは東京で就職しました。でも、新卒で入った会社は長く続かず、1年で退職し、その年の夏に富良野のラベンダー畑で夏季のみの住み込みのアルバイトを経験しました。半年ほどの滞在で「やっぱり北海道に住みたい」と決意を新たにしましたが、社会人になって2年目(当時)の私には何もスキルがなく、働き口が限られていると思い、いったんは地元(横浜)に戻ったんです。
横浜ではどんなお仕事をされていたんですか?
「大好きな本に関する仕事をしよう」と、書店やブックコンサルティングの会社で働いていました。 ※ブックコンサルティング…企業や百貨店、飲食店や病院など様々な場所に、それぞれの場所に見合う本をセレクト(選書)し、本のある空間をプロデュースする。
http://www.bach-inc.com/そのお仕事の経験を積んだ後に、いよいよ移住を決心されるわけですね
はい。2020年に仕事に区切りをつけて移住をしました。移住するまで何度も北海道へ足を運び、いろんな場所へ行き、いろんな人に会って、住む場所を絞り込んで行きました。
そうなんですか。ちなみに北海道のどんなところに行かれたんですか?
道北と道南にはあまり関心が向かなかったので旅行レベルでしか訪れなかったのですが、それ以外の地域は、だいたい見て回りました。通過しただけの場所もありますが…。下川町や東川町など移住政策に力を入れている場所もあれば、滝上町や津別町などたまたま何かの縁で知り合いができて訪れた町もありました。
大樹町での生活
あちこち行かれたなかから、移住先に十勝を選んだ決め手はなんだったんでしょうか?
実は、十勝を選んだことにそんなに大きな意味はなく、むしろ本当はオホーツク地域とその周辺に興味があったんです。
十勝を選んだきっかけは、大樹町の地域おこし協力隊がとにかく自由に活動できそうだと感じたからですね。ここでなら、今までやってきた「本に関すること」をやりながら土地に根ざして仕事ができそうだと感じました。
「住みたい場所」と「やりたいこと」を天秤にかけたときに、「やりたいこと」が優って十勝に住むことになったわけですが、逆にそこまで十勝に愛着がないことが、大きなギャップも感じず、今の私にとって暮らしやすい環境になっているように感じます。結果的に、十勝に来ることができて良かったです。
十勝の第一印象はいかがでしたか?
「人々が思い描く北海道」という印象ですね。どこまでも続くまっすぐの道。両サイドに広がる畑や牧場。空が広くて夏は入道雲が空の高いところまで積み上がっていく感じですね。
そして、実際に住んでみたらどうでしたか?
特に大樹町に関していえば、想像していた以上に寒かったです。
「北海道の内地=寒い場所」という知識があったので、大樹町は海にも近いためそこまで寒くはないだろうと甘く見ていたんですが、そんなことはなかったですね(笑)。
1年目の冬は、アメダスの1時間毎の気温の記録を毎日見ながら「よくこんな寒いところに住んでるな」と思いつつ、逆にそれが楽しくもありました。それと引き換えに雪は1シーズンで数回しか降らないことにも驚きましたね。さすがにもっと降ると思っていたので。
そうですね。札幌などに比べて十勝は雪が少ない代わりに、寒さが厳しい。長谷川さんが寒さ対策でなにかやられたことはありますか?
服装についていえば、今まで冬はほとんど厚手のタイツを履いていたのですが、絹の五本指ソックスと、日本製の靴下の2枚履きを基本にしました。いわゆる「冷えとり」ですよね。今も、いろいろな素材やメーカーのものを試しています(結局、肌着はヒートテックに落ち着くんですが…)。
眠るときは、必ず湯たんぽを布団のなかに入れて、眠る前は冷えによいとされるハーブや、生姜などのスパイスを飲みものに使ったりしています。「カーペットの下にアルミシートを置くといいよ」とこちらの友人に教えてもらってそれを試してみたりとか。冬支度が好きだから、冬も楽しく過ごせるし、だから北海道に移住したのかもしれないですね。
故郷である東京、お仕事をされていた横浜と十勝の違いは?
同じ日本だけど何もかもが違います!
大樹へ来る直前までは横浜に住み、毎日1時間半ほどかけて電車で表参道へ通勤していました。ハイブランドの店が立ち並ぶストリートを突っ切って、閑静な住宅街の一角にある小さな事務所で働いていた自分と今の自分は、どこかもう別人のようです。お休みの日は劇場や美術館、寄席、美味しいごはん屋さん、洋服屋さん、雑貨屋さん、本屋さん、何でもあって、好奇心を満たしてくれました。
劇的な変化ですね(笑)
今は、職場まで徒歩5分。基本は17時15分には退勤して、その後はゆっくりと家で時間を過ごせます。都会であくせく働く空気感に飲まれずに自分のペースで生活できることが今はとても幸せです。
週末は、別の市町村に住む友人知人を訪ねたり、北海道の美しい景色をめがけてドライブに出かけたりしています。自動車免許もこちらに来るために取得したので、車中心の生活になったことも大きな違いですね。
移住されて苦労したことも教えてください。
一人暮らしなので、災害時や急病になったときに大丈夫かな、という不安をたまに感じるくらいで、日常生活で苦労していることはあまりないですね。強いていえば、文化的な満足感を得られる場所があまりないところかな(カルチャーを追うことも仕事のひとつなので)。それについては移住前からわかっていたことなので、今はオンラインを利用して、積極的に情報を吸収しようと心がけています。
地域おこし協力隊としての活動
現在は大樹町で地域おこし協力隊の一員として活動されているそうですが、長谷川さんの具体的なお仕事の内容を教えてください。
主に本に関する仕事をしています。
大樹町の協力隊は、他の大多数の自治体と違い、フリーミッション型なので、自ら課題を設定して、企画を立て、好きな活動をすることができます。2020年9月に着任してから、大樹高校図書室で司書代わりを務めたり、大樹町内の公共施設に小さなライブラリーをつくる「大樹町まちなかライブラリー」を制作しています。(現在は道の駅と今年度内に福祉センター内に設置予定)また「宇宙のまち大樹町note」の企画・編集・執筆を務め、町の情報発信にも取り組んでいます。
これまでのお仕事の経験を活かしながら、大樹町での新たな活動を存分に楽しんでいる感じがヒシヒシと伝わってきます!
フリーランスとしても、各媒体(主にウェブ)での記事執筆、書籍や冊子の編集、また一昨年まで在籍していたブックコンサルティング会社の仕事を今も時々手伝っています。来月も兵庫県神戸市にオープンする「子ども本の森」のサポートで出張予定です。
また、週末を利用して移動書店「月のうらがわ書店」も運営中です。お店の一角をお借りしたり、イベントに出店するなどして普通の本屋さんでは埋もれていたり、なかなか売っていない本を中心にセレクトして販売したりしています。
横浜や大樹町でのお仕事を通じて感じたことは?
「本はまだまだおもしろいし、これからもずっとおもしろい」ということですね。
でも、様々な娯楽がスマートフォンひとつで賄えるのが今という時代。何もしなくても本が読まれた時代の思考からは抜け出さなければいけないですよね。
「本のことをもっと知る」努力と「それらをどう差し出せば欲しい人の手に届くか」の工夫、そして「今までの常識を破る」思い切りの良さみたいなものが必要であると思います。
特に、北海道のような地方では、(公共図書館や良質な書店がない自治体も多く)読書環境が非常に悪い。私のような本に携わる者が、おもしろい本をどんどん提供して「本ってこんなにおもしろいんだ」という新鮮な感動を与えられるようにしなければならないですよね。
とてもお忙しそうな長谷川さんですが、お休みの日は何をして過ごされているんですか?
仕事とお休みの日の区別がそこまでついていないんです。お休みの日も、図書館や本屋へ行ったり、気になるお店や人を訪ねたりしていますが、後になってそれが仕事につながったり…
十勝の魅力とこれからのこと
大樹町に移り住み、改めていま、十勝の魅力を考えるとしたらどんな答えになるでしょうか?
北海道へ移住したい本州出身者や雪国未経験者にとっては、十勝は非常に住みやすい環境だと思います。雪が少なく、日照時間が短い冬でも晴天の日が多いので朗らかな気持ちで過ごせます。日照時間って、思っている以上に大切ですから。帯広空港から都心へのアクセスも良いですし、買いものも帯広まで行けば大抵のものは揃う。
「北海道らしさ」と「過ごしやすさ」を掛け合わせたときに、十勝は群を抜いてポイントが高くて、移住にとてもおすすめできる場所だと思います。
長谷川さんが移住してから気づかれた十勝の特色なんてありますか?
(他の地域と比べたことがないので)これは私の肌感覚なんですが「ものづくりをしている人」や「(小さなお店を経営するなど)小商いをしている人」が十勝は多い印象ですね。
そういった人たちが、同じような価値観で、タイトではなく緩やかに繋がって、あるときは一緒に仕事をしたり、お互いに応援しあって良い関係を築けているのが、私にとっては居心地の良さに繋がっている。「好きなことを仕事にして、ちょうどよく生きていく」を実践している人がたくさんいることは、魅力の一つだと思います。
今後の目標や、やってみたいことがあれば、ぜひ教えてください。
北海道に拠点をおきつつ、好きなときに好きなだけ好きな場所に行けるような働きかたをしたいなと思います。例えば、今は韓国語を勉強しているのですが、コロナ禍でさえなければ、今までの私ならすぐに現地へ行っていたと思うんです。
でも、今の働き方だと1週間くらいの滞在が限度かなと。仕事に穴を開けずに「来週から、3ヶ月韓国へ短期留学に行ってきますね」なんてできたら、どんなに人生楽しいだろうって思います。韓国語を上達させてコロナ収束後にインバウンドが戻ってきた際には、韓国からの観光客とコミュニケーションが取れるようになっていたいですね。それと、本屋としての活動をより充実させていきたいなと思います。
それでは最後に、これから十勝へ移住予定の全国の後輩たちにメッセージをお願いします。
「夢をもって移住してきたときに現実とのギャップに戸惑う」ということがあると思います。でも、理想の生活をかたちにする努力をできるのは自分でしかないですし、その生活を実現する手助けをしてくれる土壌が十勝はすでにできていると思います。
自然は豊かで、食べものは美味しく、時間は穏やかに流れ、人は優しい。助けてくれる人もたくさんいます。新しい環境に「えいっ」と飛び込んでみたら、知らなかったものにたくさん遭遇します。それは移住しなければできない貴重な経験です。ぜひ、十勝での暮らしを楽しんでください。
牧場で働くなら、ノベルズでチャレンジ!
創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。
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