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北海道移住を決めた理由2022。十勝に地方移住した人たち(後編)
移住の豆知識
公開日:2022年12月30日

北海道移住を決めた理由2022。十勝に地方移住した人たち(後編)

田舎暮らしと地方移住がトレンドキーワードだった2022年。ノベルズウェーヴでは北海道移住、中でも十勝に移り住んだ人たちをたくさん紹介してきました。なぜ北海道十勝に移住したのか?現在は何をしているのか?インタビューした方々を一挙ご紹介していきます。今回は後編です。

目次
北海道移住を決めた理由2022。十勝に地方移住した人たち(前編)

北海道十勝へ移住。鹿追「南国的屋台Cafeライオンのいえ」のオーナー。田井孔美さんの場合

帯広市内から車を走らせること30分。鹿追の山道の合間にある「南国的屋台Cafeライオンのいえ」は2019年にオープンしたカレーが人気のお店です。一人で調理からサービスまでをこなすオーナーは田井孔美さん。不便な場所にも拘らず彼女の作るカレーを目当てに多くの人が足を運んでいます。

孔美さんは釧路市生まれ。札幌の大学を卒業後、そのまま市内の生命保険会社に就職しました。学生時代からの夢であった「飲食業に携わりたい」との思いが募り、会社を辞めて飲食店のアルバイトを続け、26歳の時「シルディ」というカレー店で働き始めます。

数年が経ち、オーナーの引退をきっかけに、孔美さんは店舗を譲り受けることになります。

「シルディ」の経営を受け継ぐまでの準備期間中に、孔美さんはメキシコとジャマイカに旅立ちますが、この経験がその後の孔美さんの意識を大きく変えるきっかけとなりました。孔美さん、29歳の時でした。

先代の味を忠実に継承したカレーはさらに人気を集め、「シルディ」はその後も順調に売り上げを伸ばしてゆきました。しかし、そんな充実した日々の中にも、ジャマイカでの「体の芯がとけてゆく感覚」を時として思い出します

背筋を正し、規則的に流れてゆく忙しい日々。ジャマイカのように少しでも緩められたならどんなに豊かな気持ちになれるのだろうと。

実家のある釧路と札幌を往復している途中で通過する十勝。その景色の美しさにかねてから心惹かれ、いつかここで緩やかな生活をしてみたいという思いが日に日に募っていった頃、長年のパートナーであった田井正樹さんが、清水町の「十勝地域おこし協力隊」として移住することが決まり、孔美さんも「十勝に移り住むなら今だ」と決心します。二人はともに移住し、結婚も決め、新たな生活をスタートすることになりました。

ある日「喫茶店を経営していた人がお店を引き継いでくれる人を探している」との声が。さっそく店舗を訪れ、建物とその周りの景色をひと目みたとき、「ここで自分のお店を構えよう」と決心をするのに時間はかかりませんでした。

店舗名は「ライオンのいえ」。それは1930年代のジャマイカで発生した思想運動「ラスタファリ」のシンボルであるライオンから名付けられました。

田舎暮らしは仕事も生活も出会いの宝庫「十勝の美しい景色に惹かれ転職、ダブルワークで軽やかに生きる女性」~カフェオーナー田井孔美さん~

北海道十勝へ移住。札幌から新卒で牧場会社に入社した、高坂育未さんの場合

北海道では、高校を卒業すると札幌市の学校へ進学するか、東京や道外に出るのが一般的です。もちろん、地元に残る人もいるでしょうが、多くは都会へ旅立ちます。ところが、高坂さんが選んだのは田舎暮らしでした。

「私は生まれも育ちも北海道札幌市です。幼い頃から動物が大好きで、高校卒業後は、恵庭市にある北海道エコ・動物自然専門学校に進学しました。実は卒業生にはノベルズに入社した先輩も多く、学校の先生からの推薦もあり、ノベルズへの就職を決めました」と元気に語る高坂さんに迷いはありません。

それでも、交通インフラが揃う札幌から十勝への不安はなかったのでしょうか。

十勝は旅行で帯広に訪れたくらいでした。まして、配属先の十勝・清水町に足を踏み入れたことなんてありません。帯広市は程よい人口で、スーパーやコンビニといった商業施設もあり、大好きなスイーツ店も多くて「住んでも良いかな」という印象でした。ところが、清水町にはコンビニも数えるほど、コンビニ業界の上位3社が全て揃っていないことに驚きました」(高坂さん)

社会人3年目(取材当時)。十勝清水町での生活は?と聞くと「配属されたノベルズデーリィーファームは、北海道で最も多くの生乳出荷量を誇る巨大酪農牧場です。当然、多くのスタッフが働いています。日本人以外の仲間も多く、グローバルな環境です。そんな稀有な環境ですが、上司や先輩の指導体制はしっかり整っているので、たとえ、直接の上司や先輩ではなくとも、気軽に話しかけてくれ、気遣ってくれる社風は新人にとってはありがたい会社ではないでしょうか。何より、大自然が織りなすのか、心地よい風が吹く職場環境であることは間違いありません」と充実しているようで、心配は無用のようでした。

新卒で田舎暮らし、北海道の都会から田舎へ移住した女性の現在

北海道十勝へ移住。Uターン転職を果たした夫婦の物語。有城夫妻さんの場合

東京から夫婦で互いの実家のある北海道帯広市にUターンした有城夫妻。移住前から「いずれは故郷に戻りたかった」と夫の裕一郎さんが話す一方で、妻の豊子さんは「私は東京でキャリアを積みたかった」と真逆です。それでも地方移住を果たした理由は新型コロナによる企業の働き方改革でした。

旦那様の裕一郎さんは、帯広で生まれ育ち、高校は大谷高校に進学。北海道の千歳市にある医療系の専門学校に進むも中退。一旦は帯広で就職するも「大好きな映画の世界で働きたい」と上京します。

奥様の豊子さんも、生まれ育ちも帯広。帯広南商業高校を卒業後、小樽商科大学に進学。視野を広げたいという気持ちから状況を決意。就職先は東京に本社のある人材派遣会社でした。

2人の出会いは、東京にあるふるさと会「とかち東京クラブ」での交流から進展し、結婚。ところが、2人のUターンへの考えは真逆でした。
豊子さんは「東京では文字通りの順風満帆で、東京でキャリアを積みたいと思っていました」。一方では、裕一郎さんは「十勝毎日新聞(地元紙)に東京で頑張る出身者として載った頃から『いずれは地元に凱旋したい』と考ええていました」。

転機は意外にじっくり近づきます。

結婚式の直前に豊子さんの会社が倒産。裕一郎さんも安定を求めて転職活動中。そんななかで、前述のふるさと会を通して、十勝の移住者相談員と出会い、そこから十勝関係者との繋がりが深まり、裕一郎さんに「十勝の会社で働かないか」と誘いが届きます。

ただ、豊子さんは新たな会社で着実にキャリアを積み始めていました。

裕一郎さんの願い叶わずかと思った矢先の新型コロナの流行でした。

偶然ですが、勤めていた会社には、子育てしながら働く女性が多く、新型コロナが流行る前からリモートワークが浸透していたんです。夫のUターンが決まった2020年は、新型コロナが流行した時期で、多くの会社がリモートワークの検討をはじめた頃です。ところが、実績のある私の勤めていた会社はすぐにフルリモートワークに切り替え、上司からは『出勤する必要もないから北海道に移住しちゃいなよ』と逆に背中を押されたくらいです」(豊子さん)

こうして2人は、2020年にUターン。晴れて帯広市民に戻りました。

Uターン転職を果たした夫婦の物語。地方移住の不安は?どんな働き方しているの?

北海道十勝へ移住。2年で起業したキャリア夫婦の物語。梶山夫妻の場合

「仕事と生活は切り離せない」と東京から北海道へ地方移住を果たした梶山智大さんは、日本の国家プロジェクト「リニア中央新幹線(JR東海)」に携わっていました。そして、奥様の千裕さんは「私のキャリアを活かせるのが中札内村でした」と夫に着いていくのではなく、自らの意思で地方移住を決めたそうです。そんなふたりの北海道移住物語をご紹介します。

静岡県と神奈川県出身の2人。首都圏の大学を卒業後に就職。旦那様の智大さんはJR東海に入社。奥様の千裕さんは輸入商社に就職。フランスで経験を積みなど、順風満帆にキャリアを積み上げてきました。

その後、2人は出会い結婚します。

その頃から少しずつ智大さんに北海道移住への気持ちが高まります。

結婚が大きかったかもしれません。もちろん、仕事にやりがいも感じつつ、充実していました。ただ、会社のピースとして働き続けることに違和感があったのも事実でした。自問自答を繰り返す中で、10年、20年後を描いたときに、仕事と生活は切り離せないと結論が出たんです。この先、会社員として転勤・異動は避けられません。自分の意志とは別の意思で環境が変化する中で、家族との時間は取れるだろうか。一緒にいられる時間が減るのは嫌だと頭の中でぐるぐると回るんです。そんなときにふと、自分にとって何が一番大事なのかと思った先にあったのが家族でした」と当時を振り返る智大さん。

一方で千裕さんといえば、フランスから帰国後に入社した商社のワイン事業部で、インポーターとして海外のワイン生産者からワインを仕入れて日本国内に輸入し、消費者に提供するというミッションに力を注いでいました。JSA認定ソムリエの資格を取得し、キャリアアップも図っていたところでした。
そんな中で、地方移住へと舵をきるきっかけがキャンプでした。

梶山夫妻はキャンプが大好きで毎週のように行っていたそうです。そんな何気ない帰り道の渋滞中「毎回渋滞嫌になるね。いっそ地方に移住したいね」といつも話していたそう。

これが布石となりました。

あるとき、智大さんは意を決して「北海道に移住したい」と打ち明けます

北海道を選んだ理由は、父親の関係で幼い頃に少しだけ過ごした北海道の記憶でした。キャンプ好きもその頃の経験からだったようです。

「あの頃に見た北海道の景色、中でも道東の風景が鮮明に脳裏に焼き付いていて、地方移住するなら北海道の東側とは決めていました」(智大さん)

それを聞いた千裕さんは「移住には賛成でしたが、生半可な気持ちではいけないと思ったので、『まずは私を納得させるプレゼンテーションをしてください』と伝えました」と夫の本気度を伺います。

斯くして智大さんの千裕さんへの猛烈な十勝プロモーションが始まります。

そうして2019年、十勝中札内村へ移住するのです。

移住後は「地域おこし協力隊」として活躍する2人。新たな観光資源となるスノーアートを生み出し、様々なイベントを企画しては成功を納め、ついには人気半ばで企業を決意。

2020年、AOILOを設立。地元のキャンプ場運営のほか、中札内村産の銘柄鶏を使ったローストチキンの製造・販売を開始します。そして千裕さんは、得意のワインとチーズの知識と経験を生かして、2022年4月、ワインのお店「LE BLEU(ル・ブルー)」をオープンしました。

地方移住の成功例を大公開。北海道へ移住後、2年で起業したキャリア夫婦の物語

北海道十勝へ移住。十勝の課題「空き家」を解決する夫婦。加藤夫妻の場合

地方起業、移住起業がトレンドになりつつある昨今。「地方の課題」のいの一番に上がる「空き家の利活用」を手掛ける事業者さんも増えています。今回は、すでに先発優位が少ないなか、エッジの聞いたリノベーションを手掛ける夫妻をご紹介します。

旦那様の拓さんは、宮城県仙台市で生まれ育ち、高校卒業後に北海道酪農学園(江別市)に入学。北の国から大好きで、自転車で全道を旅して回ったこともあるそう。趣味のひとつにスノーボードもあり雪山も得意。焚き火マスターとしても活動するほどアウトドア派です。

大学卒業後は東京に本社を置く農業用機械メーカーに就職します。仙台出身ということもあり仙台営業所や同じ東北の秋田に転勤するなど、東北を中心に終わるのかと思っていた矢先に十勝への転勤が決まります。

奥様の舞さんは、小樽市出身。拓さんと結婚後は旦那様の転勤について、東北を回ります。十勝への転勤を機に帯広に同行することに。

「現在、住んでいる家はグリーンパークと呼ばれる1週1200mの芝生の公園も近いですし、グリーンパークの周辺は緑ヶ丘公園が近いので、運動したり、遊戯施設で遊んだり、芝生でピクニックのほか、美術館、歴史館、動物園も揃うので、休みの日は歩いて行っていますよ。他にも、十勝には手付かずの自然も残っているので、山や川、湖のほとりでキャンプ、カヌーとアウトドアを楽しめます。極め付けは、十勝に住む人は当たり前なのですが、自宅前や近くの公園で気軽にBBQができるんです」(舞さん)

常にBBQができる帯広。焚き火マスター(拓さん)としての腕もなります。

「自然の中での焚き火を通して、子どもたちにいろいろと伝えられています。焚き火を前にすると不思議と会話が弾むことってありませんか。炎を見ていると心が落ち着き、リラックスするからですね。十勝は空だけはじゃなく、どこまでも畑や道路が続く十勝平野の抜け間は、全国どこを探してもない景色も気に入っています」(拓さん)

移住から定住へ。

会社員である拓さんの人気が近づいた頃、拓さんは決断をします。

「十勝素敵な環境が整う十勝ですが、課題もあります。住んでいるうちに自然と課題が見えてきて、自分の経験を生かせば解決できると思うようになったんです」と企業を決意。

舞さんの2級建築士の資格を活かし、空き家問題を解決する会社「Pono Wolves」を設立しました。

実は2人が舵を切れたのは理由がありました。

2011年3月11日の東⽇本⼤震災の時に、私達は仙台に住んでいました。初めて命の危機を感じたこの⽇の経験は忘れることはありません。⻑時間の激しい揺れ、その後の季節外れの雪が舞っていた景⾊は10年経った今でも鮮明に覚えています。震災の経験は、私の人生観を変えました。⼈⽣はいつ終わるかわからないと痛感し、今までの価値観が崩れたんです。⽣き延びた命、これからは⾃分のやりたい事・⼈の為になる事をして⽣きていきたいと強く思う様になりました」(加藤夫妻)

十勝だけを知る人よりも、多くの経験を積みながら、十勝以外を知る二人だからこそ、だれよりも十勝の良さを知ることができました。空き家問題は待ったなしです。二人の力で十勝らしい新たな居場所(リノベーション)が増えることでしょう。

地方移住を機に起業して成功する人が増えています。十勝の課題「空き家」を解決する夫婦をインタビュー

いかがでしたでしょうか。2022年を振り返ると「地方移住」がトレンドであることがわかります。ただ、一昔前のようなリタイヤ後のゆったりした生活ではなく、そこには多くの挑戦があります。2023年はさらに地方移住が加速すること間違いありません。ノベルズウェーヴでは、多くの「田舎暮らし」「地方移住」希望者のためになる情報を掲載していきます。

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創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。

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