牛の基礎知識4選!北海道の酪農牧場に転職する前に覚えよう!
ノベルズウェーヴの記事を読んでいただいている皆様の多くは、少なからず酪農や地方移住に関して興味関心があるのではないでしょうか。実際、サイトから「北海道で酪農をやりたい」と決意し、転職を実現した方も増えてきました。ありがとうございます。ぜひ、この記事を読んでいる方も、北海道移住・北海道で酪農を!北海道十勝に行きたい!と思ってもらえると嬉しいです。今回は、牧場スタッフへの転職に踏み切れない理由を並べ、少しでも不安解消に繋がればと思います。
多くの酪農牧場に転職した人たちの最大の不安要素が以下です。
「酪農牧場で働く上で、知識や経験がなくても大丈夫?」
そうですよね。おそらく殆どの人が酪農や畜産業界が未経験の中で、知識もなく飛び込むのは、手作りの筏で太平洋に投げ出されるようなもの。その不安は当たり前です。
そこで、今回は、ノベルズグループの社員が、牧場へ就職する前に知っておくべき牛の豆知識4選について語っていきます。全く牛について知らない方や異業種から牧場スタッフへ転職したい方は必見です。
牧場で働くということ
まず、牧場で働く上で頭に入れて置かなければならないのは、牧場の牛は基本的には家畜として飼われているということです。人間は牛を利用させてもらって、生乳やお肉を生産しています。そして牧場スタッフはその生産を高めることで利益を向上させ、お金をいただいています。本来であれば、牛は野生動物なので、人間が管理をせずとも生きていける存在なんですが、家畜として、牛の能力を最大限引き出すため、余すところなく、消費者さんに還元していくため、生産性に基づいた考え方がどうしても必要になってきます。
今回の豆知識も牧場スタッフで働く上で、どうすれば牛の生産性を上げることができるのかという考えが根本にあります。牧場スタッフは命を扱う仕事として、しっかりと知識を身に着けて、不幸になる牛をできるだけ少なくなるように飼養することを心がけています。
牛の豆知識①「生乳生産には子牛を産む必要がある」
皆さんは生乳生産をするために親牛が子牛を産む必要性が有ることを知っていましたか?
私ももともと牧場スタッフでしたが、実は牧場で働くまで、牛は体の中で勝手に生乳が生産されているものだと思っていました。ですが、冷静になって考えてみれば当たり前のことです。人間だって、お母さんが子供を産んで初めて、母乳を出すことができます。それと同じことで、牛も子牛を産むことで初めて、ホルモンが活性化され、母乳を出すことができるわけです。本来は子牛が飲むべき、栄養素満点の生乳を私たちはいただいているわけなんですよね。
基本的に牧場の搾乳牛は、お産後、11ヶ月ほど搾乳が行われ、その期間中に同時並行で人工授精などを行って再度妊娠させます。その後、出産→搾乳(人工授精期間)→出産→…というサイクルを繰り返して生乳生産を切らさないように工夫をしながら牛を管理しているのです。
「牛の妊娠期間が280日」「出産から次の出産まで約400日」「牛の性周期は28日」など初めて搾乳牛に携わる方にとって牛の繁殖知識は絶対に覚える必要があります。そこに関しての説明はかなり専門的な内容になってしまうので、また別の記事でご説明します。
牛の豆知識②「牛の胃は4つある」
「反芻動物」という言葉を聞いたことがありますか。牛や羊や山羊はこの反芻動物に当たるのですが、その名の通り、反芻を行う動物の事を指します。反芻とは一度食べたものを再び口の中に戻して、ふたたび咀嚼することです。反芻動物の最大の特徹は、四つの胃(第一胃、第二胃、第三胃、第四胃)を持つことです。人間の胃に相当するのは第四胃ですが、その前に三つの胃があります。特に第一胃は四つの胃全体の約80%以上、消化管全体の約半分を占めています。
肥育牧場出身の筆者の経験ですが、肥育で良い牛を作るためには、良いルーメン(第一胃)を維持することがもっとも重要だと口酸っぱく、先輩や獣医師の先生から言われ続けてきました。第一胃は発酵タンクであり、この中にいる微生物がどれほど、草や配合飼料を分解、消化してくれるかで、栄養を体の中に蓄えられるのかが決まってくるのです。下痢などを起こして、食べたものが全く吸収されない体になってはもったいないですからね。
牧場スタッフとして、各牛のルーメン状況をどれだけ把握できているかで、その牧場の生産性の良し悪しが決まってきます。
牛の豆知識③「肺炎には気をつけろ」
牛も人間と同じように病気をすることがありますが、数多くの病気の中でも、一番気をつけないといけないのが「肺炎」です。
牛は生きている間に必ず一回は肺炎にかかると言われており、こじらせると本当に厄介です。肺炎がずっと治らないままだと、間違いなく大きく成長することはありませんし、獣医師による治療コストもかさんでくるので、早期発見・早期治療・予防の3つが重要です。
特に子牛を飼養する育成牧場はシビアに管理しないといけません。この時期は、子牛も免疫力が低く、病気になりやすい状態です。また市場に出品をして競りにかけられる際に、肺炎をこじらせている牛はまず買い手が見つからず、頑張って育てた牛が全く売れないという状況になってしまうこともあります。
そのために、生まれたばかりの子牛は他の牛と接触(他の牛のウイルスが感染を防ぐ)しないように、ハッチと呼ばれる囲いに一頭ずつ飼養する方法を取っている牧場がほとんどです。ミルクも基本的に一頭ずつ用意し、飛沫感染と開口感染を防いで、一頭が肺炎にかかったとしても、2次被害を起こさせない工夫をしています。また、気温の急変や換気不全でも肺炎は引き起こされますので、冬にはヒーターを備え付けてあげたり、定期的に牛舎のカーテンを開けて換気を促したり、マメな対応が求められるのも育成牧場の特徴かもしれませんね。
牛の豆知識④「牛の蹄の管理も人間の仕事」
牧場の仕事で意外と知られていないものとして、『削蹄』という仕事があります。
文字通り、牛の長くなった蹄を切って、整えてあげる仕事です。牛舎内で飼養している牛は、自然界で過ごしていないので、蹄が削れることがなく、ほっておいたら伸びていきます。伸びた蹄は牛たちへ悪い影響を及ぼし、例えば、痛がって歩かなくなったり、餌を食べなくなる牛が出てきます。そうなる前に、削蹄を定期的にする必要があるのです。
やり方は主に2つあって、一つは鎌のような刃物を使って、牛の足を体全体で持ち上げ、切っていくやり方。2つ目は、牛を専用の機械の中に入れ、牛を体ごと宙に浮かばせて、ぶら下がった足の蹄を電動グラインダーでカットしていくやり方です。昔は、大型の専用機械が無かったので、前者のやり方で行っていたみたいですが、今は後者のやり方で行う業者さんも多いです。削蹄師さんたちにお話を伺うと、牛によって蹄の形が異なるので、ケアの仕方や、整え方も様々だそうで、長年削蹄師の仕事を続けていると、牛の蹄を見るだけで、この牛はこんな病気を持っているのではないかと予想することができるみたいです。
牧場で働くなら、ノベルズでチャレンジ!
創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。
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