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酪農牧場の運営を1から学ぼう!乳牛のライフサイクルについて
牧場の仕事を知る
公開日:2023年4月17日

酪農牧場の運営を1から学ぼう!乳牛のライフサイクルについて

酪農牧場での乳牛の役割は、生乳生産を行ってもらうことですが、黙って牛を見ていても生乳が乳房から出てくるわけではありません。生乳を出すためには、必ず出産というイベントを経る必要があるんです。

牧場では、できるだけ搾乳を効率化して、乳量を維持しつつ、生産しなければならないので、適切なタイミングで出産することが求められています。故に、適切なタイミングでの人工授精や受精卵移植も重要で、ここで妊娠のタイミングを逃してしまうと、その後の生乳生産が後ろにどんどんズレてしまい、生産量が下がる一つの要因となってしまいます。今回は、酪農のキホンということで、乳牛が一体どのようなライフサイクルで飼養管理されているのかを学び、牧場運営の全体像を皆さんへ共有していきたいと思います!

目次

乳牛ライフサイクルの図!これを把握しておけば大丈夫!

乳牛のライフサイクルということで、乳牛(ホルスタイン)が生まれてから、生乳生産をするまで、どのような流れを経るのかを説明していきます。
下の図は、乳牛の出産のサイクルをわかりやすく図式にしたものです。教科書や教本には必ずと行ってよいほど挿入されていますので、こちらの図を参考にしながら、理解を進めてください。

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1⃣誕生

日本の子牛は99%、人工授精か受精卵移植で生まれてきます。生まれた子牛は母牛が分娩後、一週間程度出す『初乳』と呼ばれる濃度が高いミルクを摂取します。具体的には、子牛に免疫力を付けるための免疫グロブリン(lg)が多く含まれています。このタイミングで上手に初乳を摂取できなかった子牛は、細菌やウイルスなどの病原体に抵抗できなくなり、風邪を引きがちになったり、下痢を多発したりします。この一週間で牛の一生が決まってしまうこともり、牧場主にとっても気の抜けない大事な期間となっています。

2⃣哺乳、離乳、育成

無事、健康的に初乳を摂取できた子牛はその後、約9ヶ月~12ヶ月程度、親元を離れて育成牧場(牛舎)で飼養されていきます。「哺乳」「離乳」「育成」の3ステージがあって、約3ヶ月程度ずつです。
「哺乳」では、ミルクを飲む期間であり、子牛によって、一頭一頭ミルクの量を変えながら、適切な量を与えていきます。この期間は免疫力はまだ弱いので、菌やウイルスが他の牛から感染しないように、ハッチと呼ばれる仕切りを使って個別飼いをしていきます。
「離乳」では、大人の準備をしていきます。まず、ハッチのような個別管理から群管理に移行するとともに、餌もミルクから牧草や配合飼料を少しずつ与え、胃を慣らしていきます。
「育成」では、完全にミルクを断って、配合飼料と牧草のみを与えるようになります。この段階になると、病気をすることも少なくなり、管理としては楽な期間に突入です。ノベルズグループでは、月齢が9ヶ月程度たった牛たちは、そのまま飼養する牛と、市場に売り出す牛に選畜されていきます。他の農家さんへ売られていく牛は、グループの大事な収入源となっています。

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3⃣人工授精、受精卵移植

一方、そのまま牧場で飼養され14~16ヶ月程度まで成長した牛は、発情を感知することができるようになり、いざ人工授精や受精卵移植となります。※人工授精と受精卵移植は行うタイミングは異なります。
発情観察は、繁殖成績向上のためにとても重要です。具体的にはスタンディング(他の牛の乗られても動かない)を行ったり、歩行数が急激に増えて落ち着きがなくなったり、外陰部に粘り気のある粘液が出てきます。発情観察の基本は“毎日行うこと”ですが、診るべきポイントは初心者にとって難しく、最初は見極めに困惑することもあるでしょう。しかし、最近では牛の足に歩行数をカウントするデバイスを付けて、定量的に発情を判断できるような技術も発達してきました。できるだけ、無駄をなくし、効率的な牧場運営を心がけるために、導入する牧場も増えてきているみたいです。

無事に発情を確認できた牛はそのまま人工授精or 受精卵移植となります。人工授精の場合は、オスの精液を、注射器を用いて子宮に入れていきます。受精卵移植の場合も同様に、受精卵を、注射器を用いて子宮に移植していきます。受精卵移植は一昔前まで、受胎率が悪く、受精卵を入手するために高額な費用がかかっていたので、なかなか手を付けることができない牧場が多かったのですが、現在では、移植技術の発達により、市場で売り買いされる子牛の受精卵産子率も10%近くになっています。また、ホルスタインに和牛の受精卵を受胎させ、産ませる『借り腹出産』を行い、牧場の利益率を上げられるような施策もできるようになってきました。
ちなみにノベルズグループでは、受精卵生産を自社の研究所で行い、外部の牧場様へ提供するサービス会社も手掛けています。そちらの会社の記事も執筆していますので、気になる方は是非ご覧ください。

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4⃣妊娠、分娩

無事妊娠鑑定で、確定が出れば、約10ヶ月間の妊娠期間に入ります。ほとんど人間と同じ期間妊娠していますね。ここまでで誕生から約2年間が経過しています。
分娩前には、牛はしっぽを上げたり、落ち着きがなくなります。その兆候を牧場スタッフは見逃さずに、できるだけキレイな環境で、ストレスのかからない場所で産ませることを意識します。また、分娩中は自然分娩がキホンですが、子牛の体位や大きさによって、難産の場合もあります。その際は、バンドで引っ張ったり、滑車で引っ張ったり、獣医師を呼んで帝王切開を行ったり、一瞬の判断が求められることも多いようです。親牛と子牛の両方が安心安全に出産できるよう、気の抜けない作業となっています。

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5⃣搾乳期間。そして再度、分娩へ。

前段の4つの工程を経てようやく搾乳期間に入ることができます。搾乳期間は約280~330日程度で、『泌乳期』と呼ばれ、分娩後50~100日頃が最も沢山の生乳を出し、その後はどんどん生産量は減り始めていきます。ですので、親牛は分娩後40日程度で次の人工授精や受精卵移植を行い、妊娠させ、次の分娩に備えることも必要です。実は搾乳期間中は妊娠期間中でもあり、両者を同時並行に進めていくことによって、ムダの少ない生乳生産を確立させることができているのです。泌乳期が終わると、次の分娩のため搾乳を中止します。この期間が60~90日程度あり、『乾乳期』と呼ばれます。

このように一頭の牛は分娩、泌乳期間(妊娠期間)、乾乳期間(出産間近)のサイクルを、一生に3~4回繰り返して、大体5年程度でその役目を終えることになるのです。ちなみに、役目を終えた牛は、廃用牛として食肉に利用され、最後は私達のお腹の中に収まっていきます。

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創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。

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