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北海道の酪農に欠かせないパートナー、酪農ヘルパーって何だろう?
酪農を知る
公開日:2022年1月24日

北海道の酪農に欠かせないパートナー、酪農ヘルパーって何だろう?

酪農ヘルパーを知っていますか。酪農家がお休みしようとする際、酪農家に代わって通常の業務を行う人のことなのですが、現代の酪農業において極めて重要な存在だといえるでしょう。この記事では酪農ヘルパーの仕事やその重要性についてなど、説明していきます。

目次

酪農の仕事はなかなか休めない、というのは本当?

酪農の仕事はなかなか休めない、といわれています。その点について説明しましょう。酪農は、広い意味で農業の一種といえるかもしれませんが、お休みに関していえば、畑作や稲作のような仕事とは大きく異なるところがあります。

畑作や稲作も楽な仕事とはいえませんが、畑作や稲作には繁忙期や収穫期、そして農閑期といったものがあり、年間を通じて常に忙しい、というわけではありません。相手が植物、つまり対象が植物なので、ある程度、年間スケジュールを立てることも可能なのです。計画的に栽培したり、収穫したりしやすいからです。

ところが、牛は違います。牛は植物ではなく、動物だからです。動物はおおむね、植物よりも人間がコントロールしづらく、人間の都合のいいようにはいきません。動物である牛を、完全にコントールすることはできないのです。

もう少し説明を加えましょう。たとえば、「週末はお休みしたいのでミルクを出さないでね」とお願いできるわけがないし、仮にお願いしたところでその願いを牛が聞き入れてくれるはずもありません。そんなことは当たり前といえば当たり前ですが、「対象が生き物である」点は「休み」を考えた場合、大きい問題になってくるのです。

もしも牛の乳しぼりを休んだら、牛にどんな影響が出るのか?

そもそも、酪農とは何か。その点を見つめてみましょう。酪農とは定義の上では、牛や山羊などを飼育して、牛乳や乳製品を生産する仕事ということになります。ただし、日本において対象となるのは山羊でなく、ほとんどが牛といって間違いないでしょう。

酪農の仕事では、牛を飼育して乳しぼりをし、ミルクを生産することになりますが、牛の乳しぼりは朝夕の1日2回行われるのが一般的です。そして、牛は1日2回乳しぼりをしないと、病気になってしまう可能性があります。

酪農はビジネスなので、牛乳の生産量をキープしたいという経済的な理由もないわけではありませんが、1日2回の乳しぼりは牛の健康を維持するため、というのも大きいのです。

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なぜ酪農業はお休みがとれないのだろう?

ここまでの内容を読んでいると、酪農業はお休みがとりにくいということは、なんとなく理解できたのではないでしょうか。だからといって、「そうか、酪農業は休めないのだな」とすんなり納得できるわけではないかもしれません。

世の中、さまざまな業種における「働き方改革」が叫ばれていますが、酪農業においても例外ではありません。では、酪農業の働き方改革を実現するのは何でしょう。その答えが「酪農ヘルパー」なのです。

酪農ヘルパーとは、酪農家が休暇をとれるよう、酪農家に代わって搾乳(乳しぼり)や牛舎の清掃などの仕事をする人。別の言い方をするなら、酪農ヘルパーがいることで、酪農家はお休みがとりやすくなるということです。

酪農へルパーというのは、酪農家がお休みしたいときにお休みできるよう、業務を代行する仕事。代行というと、万が一の時だけお願いするピンチヒッター的な存在をイメージする人もいるでしょうか。しかし実際は、酪農ヘルパーというのは補助的な役割というより、どちらかという準レギュラーに近い存在といっても過言ではないでしょう。

牧場(ファーム)の規模やスタッフの経験年数や人数などによりますが、ときに酪農家のスタッフのひとりに近いくらい、頼りになる存在とされています。その酪農家のファミリーの一員のような扱いを受けていることもあるほどです。

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酪農家を助ける「酪農ヘルパー」になる方法とは?

酪農ヘルパーになるのに、資格がいるのでしょうか。ズバリ、資格は必要ありません。ただし、まったくの未経験者が、今すぐ酪農ヘルパーになれるかというと、それは無理でしょう。牛の乳しぼり(搾乳)などの専門的な作業は正直いって、経験がないと厳しいでしょうから。

それにたとえ、本人が「牛が好きで、やる気があります」と言ったところで、酪農家の側がなかなか依頼する気にはならないでしょう。乳しぼりにしろ、牛舎の清掃にしろ、作業はもちろんのこと、牛の扱いにも慣れている必要があるからです。

ただし、酪農ヘルパーそのものの需要は極めて高いといっていいでしょう。よほど規模の大きな牧場であれば、誰かが何日かお休みしても、他のスタッフでカバーできることがあります。しかし、そうとばかりは限りません。酪農家は家族経営であるケースも少なくなく、病気やケガ、冠婚葬祭などがあると困ったことになりかねません。

そこで頼りになるのが、酪農ヘルパーの存在です。自分たちに代わって朝夕の乳しぼりや清掃などをしてくれる経験豊富な酪農ヘルパーがいると、安心してお休みすることができますから。

酪農家がお休みしたいときに業務を委託する酪農ヘルパーは、地域の酪農家が協力しあって運営する組合や農業団体が運営していることが少なくありません。ちなみに、酪農ヘルパー全国協会は1999(平成11)年に設立され、すでに20年を超える歴史を持っています。酪農業の発展において、酪農ヘルパーが担ってきた部分は決して少なくない、といっても過言でないでしょう。

また、酪農ヘルパーには酪農家が急にヘルパーをお願いしたいときに依頼される「臨時ヘルパー」と、毎月決まった日数、サポートを行う「専任ヘルパー」がいます。それらのヘルパーは、全国の酪農ヘルパー利用組合に登録しています。

需要が極めて高く、ますます重要度が増す「酪農ヘルパー」

ここまで酪農ヘルパーについて語ってきましたが、酪農家がお休みできるようにピンチヒッターとして活躍するだけではありません。いや、ピンチヒッターとして酪農家の仕事を代行するのは、確かなのですが、それだけはないのです。

酪農ヘルパーは、全国の酪農ヘルパー利用組合を通して、必要とされる酪農家の仕事をサポートしていますが、これは個々の酪農家の仕事を手助けしているというより、日本の酪農業全体を支えているといっても過言ではありません。

実際、個々の酪農家が酪農ヘルパーを利用する平均日数は増えているにも関わらず、酪農ヘルパーの数は不足していて、全国にある多くの酪農ヘルパー利用組合は、酪農ヘルパーの確保に大変苦労しているのが事実。逆にいえば、酪農ヘルパーの需要は常に高く、引く手あまたといえるでしょう。

前述したように酪農ヘルパーになるのに資格は必要ありませんが、普通自動車免許は必要。農場は郊外になることがほとんどで、クルマで通勤することも多く、トラクターを運転して畑作業を手伝う必要性が出てくる場合もあります。

ちなみに、トラクターは普通自動車免許のAT限定でも運転することが可能ですが、大型トラクターを運転する場合は大型特殊免許が必要になってきます。つまり、大型特殊免許を持っている酪農ヘルパーは就職がより有利になるといってほぼ間違いないでしょう。

繰り返しますが、酪農ヘルパーはその数が不足しているだけでなく、将来的にも高い需要が見込める職業のひとつ。また、地域によっては酪農ヘルパーとして経験を積み、将来的に牧場経営に取り組みたいと考えている人をサポートする動きもあるほど、重要視されています。酪農の未来を担うといっていいくらい、酪農ヘルパーは大切な仕事です。

まとめ

酪農ヘルパーについては大学で学ぶこともでき、その場合は農学部、畜産学部、生物自然科学部などがある大学を選択するといいでしょう。専門学校で酪農ヘルパーの勉強ができるところもあります。

いずれにしても酪農業において、酪農ヘルパーが必要とされていることは間違いありません。ただし、未経験者がすぐになれるものではありません。極めて重要な存在ではありますが、酪農ヘルパーになるなら、まずは酪農の現場で経験を積み、酪農家や地域とのつながりを築くことをおすすめします。

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