【ネタバレあり】実録! 酪農転職の面接「理解と覚悟の2日間」(前編)
「牧場での仕事」、「畜産・酪農業界への転職」を検討されている方にとって、大きな関心事の一つが「面接」や「現地視察」。特に、候補の牧場が遠方にある場合は、情報収集が難しく、気になるところ。情報提供の方法、現地での対応は牧場により様々ですが、北海道・十勝地方を拠点に肉牛・酪農事業を展開する、ノベルズグループでは「首都圏はじめ都府県から北海道への移住転職を目指している方」向けの面接&視察ツアーを実施しています。今回、特別に田中滋さん(仮名)に密着取材。〈前編〉では、応募から面接までの全体の流れと、ツアー1日目についてレポートします。〈後編〉では、最終面接までの模様を紹介していますので、牧場転職、ノベルズの牧場への転職を検討されている方は、ぜひ続きもご参照ください。
牧場転職 応募~面接の流れ(ノベルズグループ/中途採用の場合)
まず、ノベルズグループが実施している牧場社員の採用について、応募から面接までの大きな流れを説明したいと思います。こちらは中途採用のケースになります。
(1) 書類選考+α
(2) 一次面接
(3) 最終面接 + 牧場視察
(1)の書類選考+α。応募ルートは、自社の採用ホームページからの直接応募、求人メディア、ハローワーク、人材紹介会社経由など様々です。当社の場合、いずれのルートでも一般的な履歴書、職務経歴書の提出と併せて「質問票」への回答をお願いしています。これが「+α」の意味するところです。
その質問票の内容ですが、端的に言うと、主に牧場、酪農の仕事に対する「本気度」を見ています。応募者の中には牧場の仕事や経営に対して、未経験であればふんわりとしたイメージしか持っていなくて当然です。そのため、最初の段階で説明動画も見せながら、質問への回答を通じて、牧場にチャレンジすることへの意志、心構えを確認します。いわば、牧場での仕事、酪農の仕事に対するイメージと現実のギャップを埋める作業と言えます。
牧場の仕事、酪農の仕事に対して、十分に理解された方は、(2)の一次面接にご案内します。いまや採用面接もリモート形式が定着していますが、当社牧場も北海道にあるため、特に遠方の都府県にお住まいの応募者の皆さんに対しては、Webで1時間程度、面接を行います。
このWeb面接は、質問票の回答内容の振り返りや、応募者の不安を解消するための時間となります。ただ、面接といっても、採用担当者が確認するポイントは、素養というよりは、やはり牧場の仕事、酪農の仕事に対する「理解」です。「やる気」「元気」「勇気」、そして基礎体力があれば、牧場の仕事、酪農の仕事は未経験者でもチャレンジできます。また、事業として酪農牧場、肉牛牧場を経営しているため、牛を好きになっていただきたいのはもちろん、当社牧場でキャリアを重ねていく上でのポイントについてもお話しています。
そして、いよいよ(3)の現地での最終面接へ。ノベルズグループでは、〈都府県にお住まいの応募者〉に対しては、最終面接を〈1泊2日の旅程〉のツアー形式で実施しています(交通費、宿泊費は会社負担*)。なお、この段階では、当社としては基本的に「採用」を前提としてご案内しているツアー、ふるいにかける選考ではない点、自身にとっての意志確認の作業であることは応募者本人に伝えています。
最終面接は、牧場の管理責任者、採用担当者との面接を通じて、就職への意欲や将来のキャリアについて共有する場になります。また、実際に牧場内を見学したり、新たな生活場所となる街の雰囲気、住環境を肌で感じられる機会でもあるため、その後入社した社員にとっても好評です。そのため、このツアーはまさに、「牧場の仕事を理解し、新たな職場、生活環境での覚悟を決める2日間」と言ってもいいでしょう。もちろん、覚悟を決めるのは本人であり、現地での面接や牧場視察を通じて「やっぱり、無理!」という結論を出す方もいます。
*自主都合による内定辞退の場合のみ、費用は自己負担となります
モデルケース(30代男性、千葉県→北海道、経理/介護経験→酪農)
今回は応募者の1人、田中滋さん(仮名)にご協力いただき、牧場面接&視察ツアーを密着取材させていただきました。
「酪農は長期的にわたって働ける業界で、人手不足の業界ということで入社後、学ぶ機会も多く未経験でも早く戦力になれるのではないかと考えました。また、酪農は自分が没頭できそうな職種なのではないかと考え、その中で新たな特技を発見したいと思いました。新しいことに挑戦するには、新しい場所で挑戦してもよいと考え、北海道の牧場を選びました。
牧場の仕事に対するイメージは漠然としたものでしたが、経済動物として飼養管理する牛、生き物をしっかりデータで管理して事業を行っている牧場もあることに対して、酪農業界に対するイメージが変わり興味を持ちました(田中さん)。
前述のとおり、このツアーは「選考」というよりも、牧場転職をサポートするツアーであり、一方、応募者にとってはそのための「理解と覚悟」の2日間になります。田中さんにとっては初めて訪れる北海道で、未経験からの酪農業界。最終面接へ厳しい暑さの続く首都圏を飛び出し、夏の北海道へ降り立ちました。
〈田中滋さん(仮名)プロフィール〉
・年齢:33才(男性)
・出身:千葉県
・大学:会計学を専攻
・業務経験:主に経理業務(私生活で祖母の介護支援を経験あり)
・趣味:音楽鑑賞、散歩
・転職活動:酪農/畜産、介護業界
・今回の応募先:酪農牧場スタッフ(浦幌デーリィファーム)
【実録】酪農転職の面接&視察ツアー(1日目/会社説明)
酪農転職の面接&視察ツアーの初日。昼便で東京・羽田空港を出発し、北海道・十勝地方の玄関口、とかち帯広空港に到着。田中さんにとっての「理解と覚悟」の旅はここから始まります。ノベルズグループ帯広本社のある帯広市内中心地へは、空港連絡バスで移動。事前に予約したホテルにチェックイン後、事務所へ徒歩で直行します。
長旅の疲れもある中、初日は採用担当者によるガイダンスのみ実施します。1~2時間かけて、北海道、十勝のこと、基幹産業である農業、畜産・酪農業界のこと、そして会社のこと(飼養する牛種、グループの主要事業、組織体制、事業モデルのこと)、今回応募した牧場のこと(各業務部門、仕事のこと)について説明します。
例えば、北海道、十勝の風土のことであれば、モニターにGoogleマップを映しながらわかりやすく説明していきます。地形や面積、気候、農業の規模感、都市間の距離感、当社グループの各牧場拠点の場所、住まいと牧場の距離感などを解説することで、この土地で働くこと、生活することに対して、認識を深めてもらいます。
そして、生活の足となるクルマの話。同じ北海道でも都会の札幌圏とは異なり、十勝での暮らし、移動では自動車が必須となります。応募者の中には免許を取得していても、自動車をあまり運転していない人、保有していない人もいるため、自動車の手配や冬道での運転の注意についてもアドバイスをしています。
牧場での仕事や社風についても、この時間でしっかりと説明します。
「肉牛事業では、和牛であれば当社の場合、グループ内で受精卵の生産から繁殖、育成、肥育までの一貫体制をとっていますが、牛さんの命をつなぎながら時間をかけて大切に育み、その恵みを出荷・販売することで牧場の経営が成り立っています。酪農事業であれば、日々生乳を出荷し、その乳量や品質の向上を安定・向上させることが目標となります。牛の命と向き合いながら経済動物としての価値を追求し、コスト管理、収益性といった事業視点も必要なため、シリアスな世界でもあります」(採用担当)。
今回、田中さんは、ノベルズグループの酪農牧場、浦幌デーリィファームに応募。そのため、牧場のある浦幌町周辺、入居予定の借り上げ社宅周辺を地図で示しつつ、同牧場の事業概要や体制、各担当部門の仕事について説明しました。当社の酪農牧場には、「搾乳」「繁殖」「分娩」「診療」「エサ」「堆肥」の各部門があり、大きく「牛に触れ合う仕事」「重機を使用する仕事」に別れています。また、キャリアの方向性についても、「管理職」「業務特化型のスペリャリスト」「データアナリスト」の道があります。必ずしも希望が叶うわけではありませんが、明日の面接に向けて、応募者の意向を事前に共有します。
「酪農業界、牧場の仕事、北海道での暮らしについては、ノベルズWAVEの記事や、Web面接を通じて何となくは理解をしていました。入社後の配属先の希望を聞かれましたが、まずは牛のことを知りたいという思いがあり、牛により身近な部門(搾乳、繁殖、分娩、診療)がいいと思いました。また、経理業務の経験から、数字、データを扱うことが好きなので、データを活用して分析する仕事についても関心を持ちました(田中さん)
そして最後に、翌日の牧場現場での面接に向けて、「作戦会議」。応募者に対して面接でのポイントについてアドバイスを行います。 「スムーズに牧場で働けるよう、サポートするのが私の役割です。本日、会社や仕事に対して理解を深めていただくために、田中さんに色々な話をしましたが、その知識は面接では必要はありません。未経験の方であれば面接では格好つける必要はなく、仕事への意欲はもちろん自身の強み、不安を素直にお話しいただきたいです。もちろん内定、入社がゴールではありません。スタートラインまで立つところまでは全力でサポートします。そこから先は本人の努力次第です。当社グループの牧場では性別、年齢、経歴、国籍問わず、しがらみはありません。入社後は、1年で担当業務を後輩に指導できる知識と経験を習得し、3年以内には部門リーダーとなるくらいのスピード感で成長し、活躍することを期待しています。」(採用担当者)
【実録】酪農転職の面接&視察ツアー(1日目/夕食)
通常、ツアー初日は会社説明の後、翌日の集合時間を確認後、解散となりますが、応募者から要望があれば、夕食を食べながらご一緒します。先ほど聞けなかった質問や相談があれば、その場で回答します。この日は、同行した筆者も田中さんと同じ千葉県からの移住転職者ということもあり、十勝のソウルフードの一つ「若どりの鳥せいチェーン」で、夕食をご一緒させていただきました。
「長旅の疲れや、緊張もあり、説明の場で聞けなかった細かい話もあるかと思います。おいしい料理やお酒を飲みながらリラックスした気分で、色々聞いてみてほしいと思います」(採用担当者)
(後編へとつづく)
牧場で働くなら、ノベルズでチャレンジ!
創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。
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