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2拠点生活のおすすめ?関係人口として十勝で活躍する折笠恵さん
移住の豆知識
公開日:2023年1月3日

2拠点生活のおすすめ?関係人口として十勝で活躍する折笠恵さん

十勝への関心があっても、移住となるとハードルが高いという方も多いのではないでしょうか。移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々「関係人口」が増えています。その一人である折笠恵さんが、東京と十勝の二拠点生活をはじめた理由。それは、農業大国・十勝の生産者を支えるためでした。

アスレティックトレーナー / パーソナルトレーナー / ヨガインストラクター / フィットネスインストラクター
名前:折笠 恵
◆44歳
◆東京都 / 北区出身
株式会社ノベルズ
ノベルズウェーヴ編集部
目次

十勝への関心があっても、移住となるとハードルが高いという方も多いのではないでしょうか。移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々「関係人口」が増えています。その一人である折笠恵さんが、東京と十勝の二拠点生活をはじめた理由。それは、農業大国・十勝の生産者を支えるためでした。

世界を見て、アスレティックトレーナーとして生きることを決意

編集部

自己紹介をお願いします。

折笠さん

東京北区で生まれ育ちました。子どもの頃から活発で、スポーツが大好きでした。学生時代にスポーツ貧血を患ったことがきっかけで、スポーツの専門学校へ進学。「アスレティックトレーナー」の資格を取得し、卒業後はそのまま専門学校の教職員になりました。8年間、務めたあと、フリーのアスレティックトレーナーとして活動を開始。2020年に初めて十勝へ訪れたことをきっかけに、現在は東京と十勝の二拠点生活をしています

編集部

「アスレティックトレーナー」と「スポーツトレーナー」とはどう違うのですか?

折笠さん

スポーツトレーナーは、スポーツに関する指導やコンディショニングを行う仕事の総称で、特別な資格の名称ではありません。対して、アスレティックトレーナーは資格があり、より専門的な知識や技術を持ったトレーナーです。

編集部

なるほど。まず、資格の有無で分けられるんですね。お仕事の内容にも違いがあるのでしょうか?

折笠さん

アスレティックトレーナーはメディカル部門により強い専門家として、選手の健康管理やケガ予防、救急処置、リハビリ、食事指導などを行うことや、スポーツ医科学分野の専門家として医療機関とスポーツ現場の架け橋となるな役割を担います。そこに加え、私は、ヨガ歴が20年ほどありますので、その要素も活かしています。

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編集部

なぜ、スポーツ系の教職員に?

折笠さん

入学前は、スポーツ選手のサポートをする存在を目指していましたが、小学生の頃から、学校の先生にも憧れていたのと、まだ、トレーナーとして羽ばたけるイメージができなかったのもあり、社会勉強も兼ねて、まずは生徒をサポートする側に立つことを決めました。

編集部

人を支えたいという根本は変わらず、その対象が「選手」から「生徒」に変わったわけですね。

折笠さん

はい、そうですね。講義をさせてもらうことで専門性も深まり、また職員として、担任業務・就活のサポート、入学生獲得の為の広報や営業業務と、学生の時に自分から見えていた先生と、自分がなってみて感じた先生とは全く別のものでした。なんでも屋という言葉が一番しっくりくるような…。大変なことも沢山ありましたが、根本にあった「人のサポート」というモチベーションは8年間勤めた中で、より大きく成長しました。

編集部

想いを紡いで8年間。素晴らしいですね。その後はフリーのアスレティックトレーナーへと転身されたんですね。

折笠さん

実は、退職した時は、先のことをまだ考えきれていなくて。時間をかけて、この先の人生をじっくりと考えようと思っていたんです。

ちょうとその時期、サッカーワールドカップが開催されていて、南アフリカ大会のチケットも取れたので、観戦しに行くことが決まっていました。そこで「せっかくだからずっと夢見ていた世界一周旅行を」と計画。その旅行の中で、この先に繋がる何かがあるんじゃないかなって。そんな淡い期待を抱えながら出発しました。

編集部

すごい行動力ですね。

折笠さん

今考えると自分でも、よく行ったなと思います。アメリカのハワイから始まり、ニューヨーク、南アフリカ、ドイツ、フランス、韓国といろいろと周りました。2ヶ月と短期間で世界各地の文化に触れ合うことで、ものすごいスピードで経験値を積むことができました。

旅とはいえ、毎日必死で生きることには変わりなく、また、どこに行ってもジョギングして、ヨガして、サッカーを楽しんで、自分自身と向き合ってと、やっぱり、あんまり、今と変わってないですね。

まぁ、帰国する頃には、気持ちがより強くなっていましたね。旅の中で自分自身がパワーアップしたことを実感していたことも多くありました。また、その結果、「トレーナーとしての知識・技術で、一生、人々を支える」という気持ちも強くなりました。

編集部

旅は、人生を変えますね。

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折笠さん

本当にそう思います。程よい緊張感の中、嗅覚が研ぎ澄まされ、様々な出会いがあり、そういう毎日で、広い世界と触れることが出来たから、大きな決断ができるようになりました。そして、そういうのが自分らしい要素になり、その先の今へと繋がっています。

編集部

晴れて、本格的にアスレティックトレーナーとしてスタートしたわけですが、具体的にどのようなお仕事をされていたんですか?

折笠さん

私はフリーランスでの活動なので、仕事の幅は広かったです。サッカーチームに所属したり、フィットネスジムやヨガのインストラクターをしたり、学生の頃に初めて抱いた夢が叶い、毎日が充実していました。ずっと大切にしてきた「人を支えたい」という気持ちを、やっと身をもって実現できていると感じられるようになりました。

編集部

「人を支えたい」という根本は変わらないと

折笠さん

まさに根本になっています。その想いがやりがいに直結もしているので、私の仕事や生き方の最優先事項になっているんだと思います。

2拠点生活の先輩との出会いが私を進めてくれました

編集部

東京で夢を叶え、充実した毎日を送られていたんですね。今までのお話では「十勝」のワードは出ていませんが、2拠点生活に繋がる転機はいつ頃だったのでしょう?

折笠さん

転機となったのは2021年夏ですね。当時も、目黒のパーソナルジムにも所属していたのですが、支店を帯広に構える計画が持ち上がりました。そのきっかけをくださったのが、東京と十勝で、2拠点生活を送っている方で、大変活躍されております。その方のアテンドで、ジムのメンバー5名で視察に訪れました。

編集部

どんな視察をなさったのですか?

折笠さん

私以外は、皆んな、北海道が初めてでしたので、十勝・釧路・阿寒摩周・知床と道東を知ってもらうこともテーマにしました。そして、ゆくゆくはプロテイン製造の為に、牧場経営にも興味のあるジムの代表の為に、十勝で酪農家さんへの視察、そして、平和園でのお食事をさせていただきました。また、私は、視察直前に、少し前乗りすることになったんで、農家さんへの見学をしようと考えたのですが、中々見つからず、あきらめてた時、前にテレビで見た「1日農業バイトデイワーク」の存在を思い出したんです。名前の通り、農家さんと求職者を1日単位で結びつけてくれるサービスです。全国的に展開されているアプリなのですが、さすが農業大国十勝です。求人数も多い。このアプリを活用して、大根の収穫作業に応募しました。

編集部

デイワーク、とても話題になっていましたよね。私の周りにも、会社員でありながら休日のみ農業バイトを行っている人がいます。収穫の時期はどこの農家さんも人手が足りなく、困っているという話をよく聞くので、求職者と農家さんどちらにとってもとてもメリットの大きいシステムですよね。初めての農作業、いかがでしたか?

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折笠さん

仕事柄、体力には自信があったのですが想像以上にハードで、それがまた、すごく楽しかったです。初心者の私は1日でヘトヘトだったので、この作業を毎日こなしている農家さんはやっぱり身体が丈夫なんだなと感じました。

編集部

生産者の皆さん、本当にすごいです。

折笠さん

農業アルバイトに参加して初めて知ったのですが、農家さんには恒例のおやつ休憩というものがあり、農家さんもバイトで来ている人も、皆がお菓子を食べながら団らんする文化があります。その時の何気ない会話の中で、農家のオーナーさんが、坐骨神経痛を抱えていることを知りました。丈夫なんだと思いこんでいた農家さんでも、やはり何かしらの身体の悩みを抱えている人も多いそうです。その話を聞いて瞬間でした。自分の経験と知識を活かすことができるのはないか?と考え始めました。

「人を支えたい」という信念がコロナに打ち勝ちました

編集部

まさに百聞は一見にしかずですね

折笠さん

その後、一旦は東京へ帰り日常生活に戻ったわけですが、コロナの影響は広まる一方で、目黒のジムのご新規のお客様も、相変わらず、伸び悩んでいました。それに、帯広に新規オープンする計画も発展しそうもなく、世界中の皆様そうだったと思うのですが、先の見えない不安をなんとか払拭しないと、自分が大切にしている気持ちやモチベーションが消えていってしまうのではないかと感じていました。

編集部

十勝への道は閉ざされてしまったと

折笠さん

そこは、あまり思わなかったです。ただそれが、どう開かれていくのかの具体的なイメージまでは出てこなかったです。それでも、私は、十勝に行きますと言い続けてたら、農家さんでのお仕事を紹介するから、よかったら、ウチでシェアしない?と、前述した、視察をアテンドしてくださった方が、お声をかけてくださったです。その方は、2拠点生活を10年ほどされています。「先輩からの好機は生かさねば!」とはいえ、まずは、東京での仕事先に、お伺いを立ててみて、皆様の許可をいただけたら、挑戦してみようと思いました。それに、新型コロナウイルスの影響で、自分自身の生活も大きく変化していった時期でもあり、今後のことについても考える機会が多い時期でした。だからこそ、2拠点生活の先輩の話に、始めるなら、今なのかも!と一気に興味を惹かれていったエネルギーで、課題も、どんどんクリアしていったのかもしれません。本当に、皆様に感謝でした。

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編集部

吹っ切れ、そして2拠点生活のスタートですね。

折笠さん

結果的にはそうなるのですが、しっかりと準備をしたわけでもなく、本当に勢いの部分は大きかったです。ただ、前述の2拠点生活の先輩からの紹介で、十勝と関わりのある方との繋がりから大きな転機となる存在との出会いが多くありました。ちなみに、私も、多くの皆様と同じように、北海道には、ずっと憧れはありました。そして、実は遠い親戚が十勝に住んでいたこともあり、心の奥になんとなく親近感を抱いていた場所だったこともあり、導かれた感覚はあります。

編集部

想いの強さがご縁に繋がったんですね。

折笠さん

そういうことになるんですかね。そこは、私というよりは、本当に皆様のおかげで、本当に1つ1つが繋がったご縁でした。そして、多くのご縁からTIP(とかち・イノベーション・プログラム)にも出会うことができました。

編集部

TIPとは、どういったものなのでしょうか?

折笠さん

とかち・イノベーション・プログラムとは、野村総合研究所(東京)2030研究室が開発した地方創生のための起業家育成プログラム「イノベーションプログラム」を帯広信⽤⾦庫と⼗勝19市町村が共同で、新たな事業創造を⽬指す「とかち・イノベーション・プログラム 」(TIP)として2015年に開始した起業家を生み出すプログラムです。これまで2021年の第7期(TIP7)までで58事業、13の会社が立ち上がりました。

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編集部

TIP8に参加されたと聞きました。

折笠さん

このTIPとの出会いが、私を新たなステージに押し上げてくれました。

編集部

投資家に向けてプレゼンテーションをしたわけですね。

折笠さん

【からだづくりのトレーナーが十勝の農業に貢献できること】と題してチーム「TO勝ち・体づくり」を率いて発表させてもらいました。私以外にも2人のメンバーがサポートしてくれたことで実現できました。

編集部

具体的にはどんな内容だったのですか?

折笠さん

日本の食糧庫である農業王国・十勝を支える農家(生産者)さんに着目して、アスリートフード市場の開拓と、農業に特化したトレーニングで事業化を目指したました。これまで未就学児から90代、アスリート・モデルなど、幅広くトレーニング指導してきた経験を生かし、生産者が元気に働ける環境をつくることで日本の食を支えるために事業です。

編集部

キーワードは「支える」ですね。

折笠さん

根本は変わりません。そして、農業王国にご縁があったからこそ、今、関わりのあるジュニアアスリートにそれを届けたい、それと、自らの経験と農業をかけあわせる事業を発案しました。十勝の食材を生かしたアスリートフード開発は、会員制できめ細かいカウンセリングのもとにアスリートに適した食の提案が受けられます。また、一見、健康にみえる生産者の多くが、農業従事者だからこその体の悩みを抱えています。そこで、十勝の農業者の健康レベルアップを図るために、コンディショニングやリハビリテーションなど、プロだからこそ指導できるトレーニングサービスを提供。十勝の農業生産者がいつまでも元気に働けることで、日本の農業を守りたいと宣言しちゃいました。

編集部

すごいです。これまでの経験を生かした事業構想ですね。ちなみに現在は?すでに2拠点生活をされて、まもなく1年が経つんですよね。

折笠さん

はい。十勝に来てから3ヶ月後に、TIPが始まり、5ヶ月間にわたって続きました。雪が降るまでは、農業のアルバイトをして農家さんと繋がり、平行してパーソナルトレーニング指導をしています。正直、順風満帆なことばかりではなくて、ここまでかなという危機は何度もありました。そんな時でも、十勝に、私を待っていてくださるお客様ができたこと、会い続けたい方々ができたこと、私の支えです。そのおかげで、踏ん張る方法を探し続けることができているので、本当に、皆様に感謝しています。そして、もちろん、東京・千葉の皆様にもです。心配もいただき、そして、否定することなく、応援してくださるので、大変ありがたかったです。まずは、その方々に、私が2拠点生活するからこそ、貢献できることを、十勝を届けていきたいです。

編集部

事業構想が実現すると、アルバイトはやめちゃうのでしょうか

折笠さん

辞めるというより、農業アルバイトは農家さんとの接点なので、農家さんの作業を身をもって感じることで、体の動きを把握でき、どこにどれだけ負荷がかかるか、さらにはその負荷が時間とともに体にどう影響するかを知る機会です。それに、農家さんと触れ合うことで日常の体調管理についても助言できるので、辞めるというより、むしろ、より広く第一次産業の方々と出会いながら、広がっていきたいと思っています。

編集部

東京でも仕事は続けるのですね

折笠さん

そうですね、それだからこそ、良さが活きてくると強く感じています。東京近郊にも長くサポートさせていただいている方々がいらっしゃるので、また、その方々と十勝を、そして、東京近郊と十勝をもっともっと繋げていきたいと思っています。来年は、関西にも広がりそうなんです。

編集部

支え続けるわけですね

折笠さん

おこがましいですが、はい!同時に、そのおかげで、私も多く支えていただいてます。 それが私のエネルギーの源なんだと思います。

編集部

ありがとうございました。

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創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。

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